六中全会

地表付近のオゾン汚染、東アジアの食糧の減産を招く恐れ

人民網日本語版 2022年01月27日11:09

地表付近のオゾンの濃度が最近上がり続けており、すでに重要な大気汚染物質になっている。それではオゾン汚染はどのような危害をもたらすのだろうか。南京情報工程大学が26日に明らかにしたところによると、同大の最新の研究により、地表付近のオゾン汚染が東アジアの小麦、稲、トウモロコシの生産量を大幅に減らすというマイナスの影響があることが分かったという。同成果を記した論文はすでに、世界トップクラスの学術誌「ネイチャー」の姉妹誌「ネイチャー・フード」にオンライン掲載された。科技日報が伝えた。

高濃度オゾンが気孔から作物の葉の中に入ると酸化ストレスを生み出す。これは食糧の成長にマイナスの影響をもたらし、世界の食糧安全を脅かす。東アジアは世界のオゾン汚染の注目地域で、オゾン汚染が同地域の主要食糧作物の生産量にもたらす影響を評価することが極めて重要だ。

同研究は南京情報工程大学が中心となり、中国内外の9機関と共同で行った。筆頭著者は同大の馮兆忠教授、徐彦森博士、日本・東京大学の小林和彦教授。同研究は中国、インド、日本の複数の耕作地の実験データを統合し、オゾン量と生産量の損失の応答関係を構築するとともに、オゾン保護剤(EDU)試験により検証を行った。同研究によると、東アジアでオゾン汚染に最も敏感なのは小麦で、これにハイブリッド稲、一般的な稲、トウモロコシが続いた。研究では過去3年間近くの中国(2017−19年)、日本(2015−17年)、韓国(2016−18年)の3072ヶ所のモニタリングステーションのオゾン濃度モニタリングデータ及び総合的な国際食糧価格、作物生育期、オゾン濃度と量・相対的生産量の応答関係を分析したところ、オゾン汚染がもたらす東アジアの作物減産による毎年の損失が約630億ドルにのぼることが分かった。うち、中国の小麦は32.6%、ハイブリッド稲は29.3%、一般的な稲は12.9%、トウモロコシは8.6%の減産。同研究によると、積極的な排出削減措置によりオゾン量を半分に効果的に抑制すれば、中国の小麦の生産量は現在より21%、稲は10%、トウモロコシは4%増加する。

同研究は、「東アジアで力強い排出削減措置を講じ、オゾン耐性作物・品種の育成・栽培を強化し、作物のオゾン耐性を高める農業技術を発掘することで、作物の生産量を増やす。また研究で構築されたオゾン量と生産量の損失の応答モデルは、気候変動が作物の生産量に対してもたらしうる定量的結果の予測とその対策に指導を提供し、中国の食糧安全保障に理論的根拠を提供する」と提案した。(編集YF)

「人民網日本語版」2022年1月27日

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