湖南省博物館は24日の取材に対して、同省長沙市郊外にある前漢(紀元前206-8年)の時代の墓葬群「馬王堆漢墓」から出土した、未整理の織物を系統的に整理したところ、菱模様の入った絹織物に文字が織り込まれているのを発見し、関連分野の研究の空白が埋められたことを明らかにした。人民網が報じた。
湖南省博物館馬王堆漢墓・所蔵品研究展示センターの喩燕姣センター長は、「文化財をより良い形で保護、保管するために整理を行ったところ、菱模様の入った絹織物の布の一部から文字が発見された。馬王堆漢墓から出土した菱模様の入った絹織物に織り込まれていた文字が発見されたのはこれが初めて。典型的な篆書と隷書で、漢の初期に絹を織る非常に高度な技術があったことを示している」と説明する。
馬王堆漢墓から出土した鳥や菱模様の入った黄褐色の絹織物「乗雲繍」(写真提供・湖南省博物館)。
専門家は整理の過程で、絹織物の新たな紋様を発見したことで、埋葬品文化財に対する知識がさらに豊かになったとしている。喩センター長は、「長寿繍の紋様でこれまで知られていたのは竜の紋様だけだったが、今回は鳳凰の紋様も発見された。馬王堆の鳳凰の紋様は、漢初期のスタンダードな鳳凰のイメージで、楚(紀元前11世紀-前223年)の時代のスタイルを引き継いでおり、吉兆や長寿を願う思いが込められ、漢の時代の不老不死、仙人になって天に昇ることを願った思想とも合致している」と説明する。
馬王堆漢墓から出土した絹地の「長寿繍」(写真提供・湖南省博物館)。
また、湖南省博物館の専門家は、内棺全体を覆うように絨圏錦(フランネル)で縁取りした羽毛貼花絹が貼り付けられた内棺についても踏み込んだ研究を行った。このような内棺が出土しているのは中国で馬王堆漢墓だけだ。同博物館の董鮮艶副研究員は、「古代文献に記載されている絵画を描いて飾られた内棺は出土しているが、羽毛で飾られた内棺は国内でこれしかない。形状からして3-4種類の羽毛が使われていると見られる。ただ、酸化が激しく、何の動物の羽毛かを特定するのは難しい」と説明している。
馬王堆漢墓から出土した羽毛貼花絹(写真提供・湖南省博物館)。
(編集KN)
「人民網日本語版」2022年4月25日