福島原発汚染水の海洋放出設備が着工 専門家「汚染されれば重大な結果を日本が負うことに」

人民網日本語版 2022年08月08日11:16

日本の東京電力は、福島第一原子力発電所の原発汚染水の海洋放出設備の工事が8月4日から正式に始まると発表した。日本政府と東京電力は2023年春頃の放出開始を目指しており、今回の着工は目標達成に一歩近づいたことを意味する。(文:劉久・哈爾浜<ハルビン>工程大学人文学部准教授。環球時報掲載)

しかし、日本による福島原発汚染水の処分は世界の海洋生態環境と公衆の健康に関わり、単なる日本の内政問題では断じてなく、国際法による規制と拘束も受けなければならず、関連する国際法上の義務を遵守しなければならない。日本は「国連海洋法条約」と「原子力事故の早期通報に関する条約」、「原子力安全条約」、「放射性廃棄物等安全条約」の締約国だ。「国連海洋法条約」第192条により、各国は海洋環境を保護し保全する義務を負う。締約国である日本は、海洋環境の保護・保全を積極的に履行する義務を負っており、海洋汚染を最大限防止しなければならない。「海洋法条約」第198条と第210条により、原発汚染水の処分において、日本は関連する事柄について中国などの国々及び関連国際機関に通知する義務があり、「承認の明示」を得ずに、「原発汚染水の海洋放出」あるいはその他の処分行為を一方的に実施してはならない。それだけでなく、「公海条約」締約国である日本は、義務を遵守し、放射性物質基準値を超える原発汚染水の廃棄を防止し、海水またはその上空の汚染を防止しなければならない。

従って、日本側は透明性のあるデータと真実の情報に基づき、原発汚染水の海洋放出について国際原子力機関(IAEA)など国際機関及び利害関係国に速やかに意見を聞き、共に原発汚染水処分の方法と技術を協議し、共に議論して最も実行可能で効果的、合理的かつ合法的な措置を導き出すべきだ。

もし、日本が頑なに国際法上の義務を顧みず、国際社会の懸念に応えず、独断専行するのなら、近隣諸国や太平洋島嶼国、さらには全世界の人々からの止むことのない批判、責任追及、訴訟、賠償請求を招くことになるだろう。関係する国々と国際機関は、国際司法や国内司法を通じて、日本に対して独断専行を止め、原発汚染水の海洋放出という決定を放棄するよう促すことができる。

また、日本による原発汚染水の海洋放出が関連条約の定める国際的義務に違反するうえ、他国に実質的損害を与えたことについて、被害国は関連国際機関に日本に対する仲裁を提起することができる。実は、原発事故後、絶えず続く損害賠償請求訴訟は、まさに日本が最も懸念し、回避を望んでいる問題だ。これは日本にとって、ひとたび福島原発汚染水の一方的な処分によって放射性物質汚染を引き起こせば、国際法と国際ルールに違反したことでもたらされる様々な重大な結果を自らが負うことになるという、一種の警告となる。(編集NA)

「人民網日本語版」2022年8月8日

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