中国の大学、血栓を正確に識別できるナノ薬物送達マシンを開発
南京郵電大学によると、同大学の科学研究チームはDNAナノマシンを開発した。これは自動で血管内の血栓を探し、正確な薬物送達を実現できる。これに関連する研究論文はこのほど、国際的学術誌「ネイチャー・マテリアルズ」にオンライン掲載された。心筋梗塞や脳卒中などの疾患の治療に新たなプランを提供する見込みだ。新華社が伝えた。
論文の共同連絡著者で、南京郵電大学の汪連輝教授は取材に、「人の血管が破損すると繊維状タンパク質が血餅を形成し、傷口を修復する。薬を適切に使用しなければ、過剰なプラスミンが無差別的にこれら正常な部位の線維状タンパク質までも溶かしてしまい、凝血機能の異常を引き起こす。ひどくなれば傷口が開き、出血する場合もある」と述べた。
血栓のみに薬効を発揮する方法はないのか。論文の共同連絡著者で、南京郵電大学の晁潔教授は、「チームはこの目標を実現するため7年近くの時間をかけ、血管内で血栓を自動的に識別するナノ薬物送達マシンを設計した」と説明した。
科学研究者はまずDNA折り紙技術により長さ90nm、幅60nmの長方形シートを作成した後、血栓溶解薬分子をこの長方形シートに置いた。さらに科学者はDNA三本鎖構造を利用しゲートスイッチを設計した。これは長方形シートをナノチューブにし、薬品を保護する。
「ゲートスイッチはナノマシンの中核だ」。晁氏は、「ゲートスイッチはトロンビンアプタマーを持ち、トロンビンを自動で追跡できる。血栓付近のトロンビンの濃度が高く、傷口の血餅付近の濃度が低いため、ナノマシンは濃度に基づき自分の位置が血栓か傷口かを判断できる。濃度が高ければナノチューブを開き、血栓溶解薬を放出する」と説明した。
論文の共同連絡著者で、南京郵電大学の高宇准教授は、「小型動物モデルの実験結果によると、従来の投薬方法と比べると、ナノマシンの脳卒中、肺塞栓症の血栓溶解の効率はそれぞれ3.7倍、2.1倍上がった。凝血機能異常の発生率も大幅に下がった」と述べた。
汪氏は、「このDNAナノマシンは人体の塩基で構成されており、体内で分解・代謝でき、優れた生体適合性を持つ。チームは今後5年で大型動物モデルを用い、ナノマシンの効果及び安全性の評価をさらに実施し、量産化プロセスを模索し、研究成果の早期の臨床応用を推進し、より多くの患者に利益をもたらす」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2024年3月12日
注目フォトニュース
関連記事
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257 Mail:japan@people.cn