【国際観察】フェンタニル問題を口実にした追加関税は不当
トランプ米大統領は1日、いわゆる「違法なフェンタニルの調達及び米国への流通を許可し、何万人もの米国人の死亡を招いた」との理由で、中国製品に対して10%の追加関税を課す大統領令に署名した。これは、不当な口実作り以外の何物でもない。(文:章思遠<国際問題ウォッチャー>人民網掲載)
近年、米国内で日増しに深刻化するフェンタニル乱用問題は、米国に長年存在する麻薬問題、製薬企業の利益追求、政治における責任転嫁や水掛け論と不可分な関係にあり、自国の宣伝と誘導、社会ガバナンスの力不足が招いた結果に他ならない。
本来、もし本当にフェンタニルを抑え込みたいのであれば、違法な供給源を断ち、関連する処方薬を厳格に管理すれば問題解決は困難ではない。しかし、実際にはそうなってはいない。米国の政治屋達は選挙政治の自己利益のため、問題の真の解決に取り組むのではなく、世論を扇動し、責任を転嫁し、根本的解決ではなく表面的な対策を取り、裏ではオピオイドの生産・流通に関わる政商と癒着してさえいる。英紙ガーディアンは、米国の製薬企業は国会議員へのロビー活動に多額の資金を投じており、約90%の下院議員とほぼ全ての上院議員が製薬会社から選挙資金の献金を受けたことがあると報じた。民主・共和両党の議員はいずれもフェンタニル乱用が非常に深刻であることを認めながらも、問題解決のための立法段階になると、相手に成果を挙げさせまいと足を引っ張り合う。2023年5月に共和党が多数派を占める下院で「致死性フェンタニルの密輸阻止法案」が審議されたが、133人が反対票を投じ、そのうち132人が民主党議員だった。
疑う余地なく、米国のフェンタニル乱用は米国の国内問題であり、中国とは無関係だ。中国は世界で最も厳格な麻薬取締政策を最も徹底的に実施している国の1つである。中国は自国内に大規模な乱用問題が存在しないにも関わらず、人道的善意から2019年に米国の要請に応じ、世界に先駆けてフェンタニル類の全カテゴリーを規制対象とした。一方、米国は今なお恒久的な全カテゴリー規制を行っていない。中国はさらに『非医療用麻酔薬品及び精神薬品管理規則』を通じて、規制対象物質を動的に追加し、「規制の速度が薬物の変化速度に遅れを取らない」ようにしている。すでにフェンタニルの全カテゴリー・全チェーンを網羅する監視・規制体制を構築し、製造・販売・輸出入の各段階で厳格な管理を行っている。フェンタニルや関連する前駆体の輸出については国家薬品監督管理局の承認が必要なうえ、国連の「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」にも組み込まれ、追跡の対象となっている。
中国は米国と真摯に問題を議論し、薬物規制協力を行い、規制物質の指定、情報交換、個別案件の協力、ネット広告の削除、薬物検査技術の交流などの面で多くの行動を取り、多くの成果と効果を収めてきた。道義的にも、中国はフェンタニル問題において米国の問題解決を手助けし続け、すでに十分な事を行ってきた。しかし、米国はそれに感謝しないばかりか、逆に中国を非難し、責任を転嫁している。これでは道理も道義もない。
米国政府は自国の中に原因を探して解決策を考えるのではなく、フェンタニル問題を口実に中国製品に追加関税を課し、責任転嫁と恫喝に力を注いでいる。これは完全に本末転倒であり、一方的な覇権でさえある。問題の解決にならないだけでなく、米国のフェンタニル乱用問題をさらに深刻化させ、米国の国際的な信望と道徳的なイメージをさらに損なうことになるだろう。米国政府はこの点を深く反省し、過ちを正し、他国を害して自国の利益にもならない事、さらには自国を害する事を止めるべきである。(編集NA)
「人民網日本語版」2025年2月7日
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