日本人漫画・アニメ作家で映画監督の新海誠氏は、若者達の微妙に揺れ動く心理や緻密で美しい風景描写を描くことで人気が高い。中国で初めての新海監督の展覧会が9日、北京SK大厦で開幕した。日本国際交流基金北京日本文化センターが主催する本展覧会は、中国で開催される新海誠展覧会の皮切りとなった。新監督の主な作品は、「秒速5センチメートル」「星を追う子ども」など。あまりにも数多くのファンが会場に詰めかけたため、やむなく主催側は入場制限を行った。人民網が報じた。
開幕式では、まず、日本文化センターの吉川竹二所長が、「今回の展覧会は、北京を皮切りに、向こう3年間で中国国内の各都市を巡回する予定だ」と挨拶した。在中国日本大使館公報文化センターの山本恭司公使も流暢な中国語で祝辞を述べた。新海監督が新作品の制作で忙しく、開幕式に出席できなかったため、スタッフが監督本人からのメッセージを会場で読み上げた。ヒット映画「Love Letter」の岩井俊二監督からもお祝いの言葉が寄せられた。
開幕式に引き続き、会場では、新海監督の作品「言の葉の庭」が上映された。また、新海監督作品の制作方として招待された、中国区事務担当の青木佐登留氏が、同作品について解説した。青木氏によると、「言の葉の庭」は、上映時間46分という短編映画だが、1年半の歳月におよぶ制作スタッフの努力の末に誕生した作品という。雷鳴轟くシーンや、主人公の立っているシーンなど、映画の中に登場するさまざまなディテールは全て、深い意味を持っている。新海監督の作品には、若者の揺れ動く細かな感情の機微が丁寧に描かれており、同時に、人と人との間に存在する、ある種の距離感も仄めかされている。
今回の展覧会は、「雲のむこう、約束の場所」「秒速5センチメートル」「星を追う子ども」、「言の葉の庭」という劇場映画4作を中心に展示されている。展示内容は、全作品の紹介、公開時のポスター、絵コンテのほか、レイアウト、キャラクター設定、作画(原画と複製)、大型背景美術、全体の制作プロセス解説など。このほか、会場には、大型背景美術をバックに記念写真が撮れる撮影コーナー、ストーリー画集が閲覧できるタブレット、アニメ制作の流れの体験型装置も設けられた。本展は、中国における新海作品のさらなる普及をバックアップするだけではなく、中国のアニメファンの日本アニメ・漫画に対する理解をより深め、中国の人々が日本文化とより親密に触れ合う格好のチャンスとなるだろう。(編集KM)
「人民網日本語版」2015年3月9日