習近平国家主席による3月下旬のイタリア、モナコ、フランスへの国賓としての訪問が成功したのに続き、半月足らずで李克強総理が欧州を訪問する。ブリュッセルでは第21回中国EU首脳会議に出席し、クロアチアでは第8回中国・中東欧諸国首脳会議に出席し、クロアチアを公式訪問する。これは中国外交が欧州を非常に重視していることの表れだ。(文:華益文・国際問題専門家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
中国は一貫して欧州を世界の多極化プロセスにおける重要な一極と考え、対外関係の重要な位置に据え、欧州統合のプロセスとEUの団結及び自己強化を支持してきた。中国とEUの包括的な戦略的パートナーシップの発展は、双方に確かな利益をもたらし、世界の平和と発展も促進してきた。現在、中国と欧州は共に戦略面の相互信頼の強化、実務協力の深化を願い、そのために様々なルートを通じ、様々なレベルで前向きなメッセージを発している。今後双方は以下の3つの関係をうまく処理するべきだ。
(1)中国とEU及び中国とEU加盟国の2つのレベルの関係をしっかりと把握する。これは弁証法的方法を要する。中国EU関係は中国とEU機関との関係とともに、中国とEU加盟国との二国間関係も含む。両者は互いに支え合って成り立っており、互いに取って代わるものではない。実践を見ると中国EU関係は二国間関係を含み、小規模の多国間関係、大規模の多国間関係も含む。中国が1つの全体としてのEUと付き合うのは、全てのEU加盟国との協力を促進するためだ。同様に、中国がEUの各加盟国との二国間関係を発展させる、または欧州の準地域組織との関係を発展させるのも、EUとの協力を促進するためだ。EUは加盟国の対中関係発展を奨励し、これに助力し、EU加盟国もEUが相互尊重と対等性を基礎に中国との互恵・ウィンウィンの関係を発展させるのを後押しする必要がある。
(2)短期的利益と長期的利益との関係をしっかりと把握する。これは長期的考えを要する。中国と欧州は改革と発展の正念場にあり、共に差し迫った問題を抱え、各々の改革と発展の優先事項を持つ。中国とEUの長期的で健全かつ安定した関係を発展させるにおいて、最も避けるべきは目先の利益のために長期的利益を顧みないことだ。特に一部の国でポピュリズム、保護貿易主義、経済ナショナリズムが台頭する中、近視眼的政策主張が中国とEUの長期的協力を妨げるのを放任すれば、最終的に失うものの方が大きくなる。中国側は一貫して長期的視点で中国EU関係を捉え、双方が短期的利益と長期的利益を共に考慮し、両者の関係を調整してうまく扱うことを希望している。
(3)個別の溝と協力の大局との関係をしっかりと把握する。これは戦略的視点を要する。先般、欧州委員会は重要な報告「EUと中国の戦略の展望」を発表し、中国は多くの政策分野でEUの「自然な」協力パートナーであり、EUの交渉の協力パートナーでもあると指摘した。この報告は中国EU間に存在する広範な共通利益を認める一方で、両者間の溝も誇張した。実際には、パートナーとは溝や競争がないことを意味するわけではなく、溝を適切に処理し、小異を残して大同につき、良い競争を行い、協力面が常に競争面を上回るようにすることが極めて重要なのだ。この面において、中国とEUは長年にわたりかなり豊富な経験を積み重ねてきた。双方は一時、一事の溝が両国関係の長期にわたる健全で安定的な発展を妨げるのを防ぐべきだ。
新たな情勢の下、中国とEUは遠大な視点に立つと同時に、地に足をつけて、双方の政治的相互信頼の基礎をしっかりと固め、各分野の互恵協力を深め、中国EU関係が包括性、戦略性、安定性を長期にわたり保つようにするべきだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2019年4月4日