■意味深長な米国の態度
今回の日韓危機勃発後、韓国は米国に前面に出て調整するよう求めたが、米国が直ちに行動に出ることはなかった。その理由を突き詰めると、トランプ政権が自国のことで手一杯だからという見方がある。筆者は米国の「欠席」は、第1に歴史をめぐる日韓のいざこざはほぼ解決不能であることを熟知しているからであり、第2に米日韓同盟に対するトランプ氏の認識と関係があるだろうと考える。米国にとって日韓は重要な同盟国であり、地域における利益を実現するための最も重要な支点でもある。だが歴史や領土など各面で日韓の間に深いレベルの摩擦があるため、米日韓の揺るぎないトライアングルは完全に形成できずにいる。だがトランプ政権は米日、米韓の二国間軍事同盟の価値と役割をより重視しているとみられる。さらに重要なことに、米国はこの危機をまさに必要としているのだろうと筆者は考える。
中日韓3カ国のパートナーシップは何度も曲折を経て2018年のG20サミット開催を機に正常な発展の軌道に戻り、中日韓自由貿易協定(FTA)交渉は著しく進展し、北東アジア経済の統合プロセスは加速している。だが米国はこうした勢いに乗じた発展が続いていくことを望んではいない。日韓危機の勃発は、米国にとって願ってもないチャンスなのだ。
緊張が激化したことで、米国も少しはリップサービスをせざるを得なくなったが、日韓共に納得していない。ポンペオ米国務長官は2日に日本の河野太郎外相、韓国の康京和外相と一対一の会談を行う予定だったが、両会談ともキャンセルされた。
日本政府の態度が断固たるもので、立場が強硬であり、なんと米国に前面に出て調整することをさせず、反対に日本の立場を理解し、ひいては韓国を説得するよう求めていることが注目される。これは米国の影響力がすでに著しく弱まっていることを物語っている。(編集NA)
「人民網日本語版」2019年8月19日