米側は香港地区に制裁を科す方針を発表したが、現在同国では警察の暴力的法執行により死者が出たことによって引き起こされたデモ活動が急速に拡大し、激化している。新型コロナウイルス対策が不十分であったために米国の死亡者数は自国及び世界の「記録」を再度塗り替え、11万人に迫っている。ここ数日、米側は世界中の大手メディアの関心を引くことに成功したと言える。悲劇的色彩と風刺的意味合いを帯びて、「米国スタンダード」を生き生きと明示したのだ。(文:張慶波)
国内の至る所で危機が生じてもなお外国に干渉することを忘れず、また世界最大の保健機関から慌ただしく脱退する。米側の行動ロジックは理解できる点もあれば、理解できぬ点もある。理解できるのは、周知の通り米国では今年大統領選挙があり、政治屋達は難癖をつけて、焚きつけて、摩擦を利用して問題を覆い隠し、外部を利用して内部をごまかして、民衆の視線をそらさせる必要があるということだ。理解できぬのは、明らかに自国内が混乱状態にあるのに、正しい道を考え、問題の解決に力を注ぐことをせず、他国に恨み言を言い、非難するだけであるということだ。
米側は一貫したうぬぼれと横暴に任せて、自らと関係のある事とない事をないまぜにして、問題をエスカレートさせ、摩擦を他国に移出することで、民衆と世界を欺き、麻痺させているのだ。「香港地区に制裁を科す」との揚言が、その一つだ。第1に、自分が責任を負うべきなのに、その責任を中国に押し付けようと企て、「中国を巻き込もう」との幻想。第2に、自分がトラブルに悩まされているので、中国もトラブルに悩ませてやりたい、中国を平穏にはさせないとの企て。第3に、焦点を中国に向けさせ、中国を後ろから押して「矢面」に立たせる。そうすれば米国の新型コロナウイルス感染症の死亡者数と国内の騒乱は目立たなくなる。第4に、この世界では米国が偉大である以外になく、米国が偉大である以上、どんな事も米国の一存で決める。要するに、これらはいずれも表面を装って本質をすり替える政治ゲーム、管轄権を域外適用する強盗の論理なのだ。
ただ、米側は中国の決意を過小評価していた。
第1に、香港地区は中国の不可分の一部であり、香港特区において国家の安全を守る法律制度と執行メカニズムを確立し整備することは、中国が今日ようやく得た権力ではなく、他国から付与される必要のある権力でもない。第2に、米国自身の国家の安全に関する立法は種類の多さも世界最多、包含する範囲の広さも世界最大と言える。自国はしたい放題の事をするのに、他国には国家の安全を守るための法律を制定させない。この「ダブルスタンダード」も余りにも明らかだ。第3に、香港地区で昨年発生し、今も続いている条例改正騒動では、暴力行為が止まず、「香港独立」活動が絶えない。これが中国の「一国二制度」事業にとって有利か不利か、香港同胞が歓迎しているのか憎悪しているのか、香港地区における経済活動の各国の参加者は希望を抱いているのか失望しているのか、答えはすでに明らかだ。完全に法律を制定することができ、完全に法律を制定すべきであり、完全に「一国二制度」事業と香港同胞の幸福に有利だ。中国がこうするのは情と法と理にかない、実際の必要性と各界の期待に合致した、まさに情勢から見てやらざるを得ない、時宜を得たものなのだ。
米側が香港地区に制裁を科す根拠は皆無であり、制裁措置もおかしなほど馬鹿げている。いわゆる香港地区への優遇措置の撤廃だが、実際には香港地区を独立関税区とするのは国が承認し、世界がとうに受け入れているものだ。たとえ米側が一方的に否決しても、国際的取り決めに合致するのか否か、他の国々は同意するのか否かと問わざるを得ない。その上、米側が本当にそうする事を選択するのなら、自国にも他国にも不利益であることは確実だ。香港地区が毎年現地で製造し米国に輸出する商品は全商品の2%足らずで、その価値は輸出全体の0.1%足らずだが、米国にとって香港地区は最大の貿易黒字を得られる単一のエコノミーであり、過去10年間に香港地区から3000億ドル近くを儲けている。米国の業者、香港地区で事業展開する1300社以上の米国企業、香港地区に居住する8万5000人の米国民は、制裁を望んでいるか?利益と利害を秤にかければ、答えは明らかだ。
米側は必ずしもこれらを分かっていないわけではない。頑としてそうするのは、注目を引いたり、脅すために大袈裟なふりをしているのだと解釈する他にない。香港特区における国家の安全を守る法律制度と執行制度を確立し整備する法律の制定を中国が決定するのを、阻止することはできないのを彼らは分かっている。たとえ本当に香港地区に制裁を科しても、損な取引であることを彼らは分かっている。それ以上に、「一国二制度」の成否を判断する基準は彼らの手中になく、「一国二制度」の成功はすでに世界が認めていることを、彼らは分かっている。中国はトラブルに巻き込まれることを望まないが、トラブルを恐れず、トラブルを処理する能力があり、トラブルに陥ることはないことも、彼らは分かっている。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年6月1日