過去1年、突如降りかかった新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るった。世界の公衆衛生は深刻な脅威に直面し、世界経済は深い後退局面に陥り、人類は史上まれに見る多重の危機を経験した。習近平国家主席は世界経済フォーラム(WEF)の会合「ダボス・アジェンダ」で特別演説を行い、この時代の抱える4つの大きな課題をしっかりと解決する必要性を指摘した。習主席は問題解決の活路が多国間主義の維持と実践、人類運命共同体の構築推進にあることを強調し、中国が各国と共に、平和の永続する、普遍的に安全で、共に繁栄する、開放的・包摂的で、クリーンな美しい世界を構築することを表明した。習主席の特別演説は、遠い将来までも見通した、深淵な思想と豊かな意味を持つものであり、「世界はどうなってしまったのか、我々はどうすべきか」という問いに答えるための中国の知恵と主張、案を示して、国際社会から広範な注目と熱烈な反響を得た。
歴史は常に前進し続けており、世界が過去に戻ることはできない。我々が今日行う選択の一つ一つ、行動の一つ一つが、いずれも世界の未来を決定する。習主席は、我々がしっかりと解決する必要のある、この時代の抱える4つの大きな課題を明確に示した。
(1)マクロ経済政策の協調を強化し、世界経済の力強く、持続可能で、均衡ある、あまねく広がる成長を後押しする。
(2)イデオロギー的偏見を捨て、平和共存と互恵・ウィンウィンの道を共に歩む。
(3)先進国と発展途上国との間の発展格差を克服し、各国の発展と繁栄を共に後押しする。
(4)グローバルな試練に連携して対処し、人類の素晴らしい未来を共に築く。
この4つの課題は、人類社会が共通して抱える多くの問題を概括したものであり、国際社会が試練に対処し、共通認識を形成し、難題を打開し、実務的な行動を取るための共通の目標を明確にし、努力の方向を指し示した。
人類の歴史は我々に告げている。問題があることは恐ろしくない。恐ろしいのは問題を直視する勇気を持たず、問題解決のアプローチを見出せないことだ。人類が現在、第2次大戦終結以来最も深刻な経済的後退に陥り、主要な各経済圏が史上初めて同時に大きな痛手を被り、グローバルな産業チェーンとサプライチェーンの運用が妨げられ、貿易・投資活動の低迷が続いていることを、深く認識しなければならない。我々は現在を掌握し、新型コロナ対策と経済発展を統合的に計画し、マクロ経済面の政策的支援を強化し、世界経済が早期に危機を脱する後押しをするとともに、未来に目を向け、決意を固めて世界経済の原動力の転換、方式の転換、構造の調整を後押しして、世界経済を長期的で健全かつ安定した発展の軌道に乗せる必要がある。各国の歴史・文化、社会制度には各々長所があり、優劣の差はない。肝要なのは自国の国情に合っているか否か、人々から支持されるか否か、政治の安定、社会の進歩、民生の改善をもたらすか否か、人類の進歩に貢献できるか否かだ。違いがあるのは別に恐ろしいことではない。恐ろしいのは傲慢や偏見、敵視であり、人類の文明を様々な等級に分けようとすることであり、自らの歴史・文化と社会制度を他者に押し付けることだ。各国は相互尊重と「小異を残して大同につく」ことを基礎に平和共存を実現し、各国の交流と相互参考を促進して、人類文明の発展の原動力とするべきだ。パンデミックの中、各国の経済回復状況は分かれており、南北の発展格差は拡大さらには固定化する危険に直面している。国際社会は長期的視点に立ち、約束を実行し、発展途上国が発展するために必要な支援をし、発展途上国の正当な発展の権益を保障し、権利の平等、機会の平等、ルールの平等を促進して、各国の人々が発展のチャンスと成果を共有できるようにするべきだ。経済グローバル化の時代においては、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに類似した公衆衛生上の緊急事態がこれで最後であることは絶対になく、グローバル・ヘルス・ガバナンスの強化が急がれる。人類の直面する全てのグローバルな問題は、どの国であれ単独では解決するすべがない。
人類にとって地球は1つだけであり、未来も共通のものが1つあるだけだ。現在の危機に対処するのであれ、素晴らしい未来を共に創造するのであれ、人類は同舟相救い、団結・協力する必要がある。(文:人民日報論説員、編集NA)
「人民網日本語版」2021年1月27日