中国が第3子出産容認政策を打ち出した意図

 2021年06月02日09:40

5月31日の中国共産党中央政治局会議で、第3子までの出産を容認する政策が明らかにされた。会議は、「出産政策をさらに最適化し、夫婦1組につき3人の子までの出産を認める政策及び関連する支援措置を実施することは、我が国の人口構成を改善し、高齢化に積極的に対処する国家戦略を実行に移し、我が国の人的資源による優位性を保つことに寄与する」とした。第3子出産容認政策をこの時期に打ち出したことは、現在の中国の人口動態における新たな状況や変化と関係があると分析される。中国新聞社が伝えた。

第7回全国国勢調査によると、2020年の中国の出産適齢女性の合計特殊出生率は1.3で、2010年の第6回国勢調査以降初めて1.5を下回った。「全面両孩政策」(1世帯につき子供2人までの出産を全面的に認める政策)の実施後、出生率は短期間回復したが、その後次第に下降し、低水準で上下してきた。国際的には通常、合計特殊出生率は1.5前後が「高度敏感警戒ライン」であり、これを下回る状態が続くと「低出生率の落とし穴」に陥る恐れがあるとされている。

南開大学経済学部教授で中国人口学会副会長の原新氏によると、第3子出産容認政策を打ち出したのは、1つには高齢化への積極的対処という中国の国家戦略の実行を促進するためであり、もう1つには第14次五カ年計画(2021‐25年)綱要の打ち出した「適度の出生水準の実現の後押し」を促進するためだ。「国家人口発展計画(2016ー2030年)」は2030年の合計特殊出生率目標を1.8としており、現在の水準とはなお一定の隔たりがある。

専門家によると、産児制限政策の一層の緩和は中国にとって良い事だが、出生率改善に対する効果が短期的なものになる可能性が高い。この政策と関連する経済・社会政策をしっかりと策定できるか否かが極めて重要となる。

今回の会議で、出産政策と関連する経済・社会政策の連携促進に言及されたことは注目に値する。会議では、婚姻・出産・養育・教育の一体的考慮、結婚適齢期青年の結婚・恋愛意識の強化、「優生優育」サービス水準の向上、保育サービスシステムの発展、教育の公平性と良質な教育資源供給の推進、家庭の教育費負担軽減といった具体的措置が挙げられた。

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