ロシア・ウクライナ紛争は1ヶ月以上続いている。冷戦終結後最も深刻なこの地政学的事件は、無数の苦難をもたらしている。米国のアイゼンハワー元大統領はかつて、代理戦争は国家目標を達成する最も安価な方法だと言った。ロシア・ウクライナ紛争は米国が背後でウクライナを操って発動したもので、まさに名実相伴う「代理戦争」である。
「代理戦争」は通常、低コスト、ハイリターン、そして一見理にかなった責任転嫁といった特徴を備えている。ロシア・ウクライナ紛争で、米国はロシアを消耗させ、ヨーロッパへのコントロールを強化し、この機を利用して原油価格を押し上げ、欧州へのエネルギー輸出を拡大し、大儲けしている。これは「一石三鳥」であり、漁夫の利を得ていると言えるだろう。それなのに、ロシア・ウクライナ紛争のもたらす痛ましい代償は米国には関係がない。このようにして、米国は利益を最大化し、リスクを最小化することができる。
米国は早くも冷戦時代から、世界各地で焚き付け、大々的に代理戦争を行い、絶えず世界を揺るがし、他者の手を利用して戦争を発動し、自らの覇権的地位を固めてきた。米国の真の意図は明々白々だ。
米国のカーター元大統領はかつて、「米国は世界の歴史において最も好戦的な国だ」と言った。建国から250年足らずの米国が、対外的に軍事行動を発動しなかった期間は20年足らずしかない。米国は頻繁に戦争を引き起こしており、平和と安全をもたらさぬばかりか、惨禍を一層深刻なものにしてきた。また、開戦前の約束を果たしたことがないため、その信用は失墜のスパイラルに陥っている。
20年前のアフガニスタン戦争開戦時、米国政府はアフガニスタンの人々に「民主主義と繁栄」をもたらすと約束したが、それを果たさなかった。今やアフガニスタンは深刻な人道的危機に直面している。アフガニスタン戦争の間に、累計で約1100万人が難民になったと報じられている。世界食糧計画(WFP)の統計では、2280万人のアフガニスタン人が深刻な食糧安全保障の問題に直面しており、5歳以下の子ども320万人が深刻な栄養不良に陥っている。1990年代初頭、ベイカー米国務長官(当時)は「NATOは東に1インチたりとも拡大しない」とソ連のゴルバチョフ大統領(当時)に約束したが、米国政府はその約束を守らなかった。米国は、NATOの東への拡大を推し進めるのは平和を維持し、欧州での戦争発生を防ぐためだと主張しているが、現実は決してそうではない。
米国は、自らがすでに「約束違反と信用失墜の帝国」に成り果てているのではないかという問題をよく考えるべきだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2022年4月26日