第19回アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)でオースティン米国防長官は、米国は「自由で開かれたインド太平洋」を通じて「地域の平和と繁栄」を維持すると述べた。米国は「インド太平洋戦略」を立派なベールで覆うべく力を尽くしたが、この偽善的レトリックの下に隠した悪巧みを覆うことは困難だ。(文:郭若氷・国防大学国家安全学院院長。中国軍網掲載)
■分断と対立の「小集団」を構築
米国の「インド太平洋戦略」は、地域諸国の団結を名目に掲げながら、実際にはアジアを分断する行動を取っている。
第1に、米国防長官は「分断ではなく、包摂を求める」と標榜するが、様々な会合で「中国の脅威」を誇張し続け、米国が「正義の化身」であるふりをし、いわゆる「ビジョンの共有」を用いてイデオロギー対立を扇動し、中国と他の国との関係を裂き、アジア諸国を惑わし、仲間に引き入れて、共に中国と対立しようと企てている。
第2に、米国防長官は、米国の全ての行動は、この地域の安全保障構造を「より透明で包摂的なもの」にするためだと鼓吹している。だが実際には、米国が「インド太平洋戦略」の下に設ける様々な協力体制は、いずれも中国を主要標的とする排他的で対立的なものだ。
第3に、米国は「アジア版NATOを求めない」と主張しながら、朝鮮半島や東中国海、台湾海峡、南中国海といった敏感な問題を故意に誇張し、アジア太平洋地域における軍事同盟やパートナーシップ、特に米日印豪の「クアッド」や米英豪の「AUKUS」を強化し続けることを表明している。その根本的目的は、地域情勢に緊張を作り出し、中国に対抗し、中国を抑止するための「小集団」を構築することにある。
■動揺と紛争の元凶
米国の「インド太平洋戦略」は、「地域の平和維持」を名目に掲げながら、実際には挑発行為や撹乱行為に出ている。
第1に、米国防長官は、この地域が「混乱と動揺」に陥るのを防ぐ必要性を主張している一方で、「インド太平洋」は米軍の「優先地域」であり、「太平洋抑止イニシアティブ(PDI)」の実行への資金投入を強化し、「海洋状況把握のためのインド太平洋パートナーシップ(IPMDA)」を力強く推進し、新興作戦能力などを開発すると直言している。これが軍拡競争を引き起こし、地域の平和と安定を破壊することは間違いない。
第2に、米国は台湾地区問題で「対立や衝突を求めない」と公言しながら、「台湾が十分な防衛力を維持できるよう支援する」と繰り返し強調し、台湾当局に誤ったシグナルを何度も送り、「台湾独立」分裂分子の「米国に頼り独立を謀る」気炎を助長している。極めて悪質なことに、バイデン政権はシンガポールでの中米国防相会談を前に、台湾地区への新たな武器売却計画を発表した。このような「火遊び」的行為によって、両岸の平和と安定を破壊し、地域の動揺と紛争と引き起こそうという悪意ある目的が改めて裏付けられた。だが、ひとたびこの地域で戦争や混乱が起きれば、米国は非難を免れないだけでなく、火遊びをする者は必ず自らを焼くことになるだろう。(編集NA)
「人民網日本語版」2022年6月17日