日本が国民やメディア、国際社会の強い反対を顧みず、最終的に「原発汚染水の海洋放出」を決定したことは、国際問題を内政化するその利己的本質の表れであり、世界の環境保護や国際社会の共通利益を無視して自国の経済的・政治的利益を図るその環境外交の利己的価値観をさらに裏付けるものとなった。(文:王京濱・天津理工大学管理学院教授、李揚・同修士課程学生、呉遠泉・同修士課程学生)
■米国の「お墨付き」を利用して国際社会の圧力を防ぎ止める
今回の福島原発汚染水の処分問題において、日本は国際社会から数々の圧力に直面し、同盟国から「お墨付き」による支持を得ることを早急に必要としていた。 日本の「原発汚染水の海洋放出」という閣議決定に対して、米国は曖昧な姿勢を取り、いわゆる日本の「オープンで透明性ある」努力に感謝さえした。福島原発汚染水の海洋放出問題において、米国の支持が日本の直面する国際的圧力を大幅に緩和し、「原発汚染水の海洋放出」計画への自信を強めさせたことは間違いない。日本は米国の「世界覇権」を利用して「原発汚染水の海洋放出」計画にお墨付きを得ることができ、米国は日本を抱き込むことでアジア太平洋地域における自らの従来からの勢力を維持すると同時に、アジアの他の国への日本の接近を防ぐこともできる。特にバイデン政権発足後、米国は同盟国との関係修復・強化を加速させており、日本の「原発汚染水の海洋放出」計画に対する放任と黙認は、まさにその一環なのである。
■国際問題を内政化して周辺諸国の世論を抑える
福島原発汚染水の海洋放出問題は、全世界の環境の安全に影響を与え、全人類の健康に関わる重大な国際問題であり、本質的に言って国際政治問題の範疇に属するのであり、日本だけの国内問題では決してない。日本政府が「原発汚染水の海洋放出」という決定を発表すると、周辺諸国から反対や疑問の声が次々に挙がった。ロシア外務省は、日本がどの近隣国とも協議を行わず、十分な公式情報も提供せぬまま閣議決定を行ったことに懸念を表明。中国外交部(外務省)も、日本が安全な処分手段を尽くさぬまま、国内外の疑問や反対の声を顧みず、周辺諸国や国際社会と十分に協議することもなく、「海洋放出」方式による原発汚染水の処分を一方的に決定したことに反対した。韓国の具潤哲国務調整室長は、福島原発汚染水の「海洋放出」という日本の決定への対応に関する省庁間会議を招集した際、日本側が事前に韓国側と意思疎通を行うことなく、原発汚染水の海洋放出計画を一方的に決定したことに遺憾の意を表明し、計画の即時停止を日本側に呼びかけた。
日本政府の閣議決定は、グローバル環境ガバナンスの枠組みで国際的な監視メカニズムを設けることも、第三者である国際機関に情報公開を委託することもなく、国際問題を内政化する行為を確認するものであった。外交は内政の延長線上にあり、内政上の決定による誘導と制約を受けるものではあるが、それでも両者間には本質的な違いがある。日本政府が周辺諸国や国際社会の姿勢を無視し、周辺諸国との協議を拒絶し、国内問題を処理する方法で閣議を開き、「原発汚染水の海洋放出」計画を正式に決定したのは明らかである。国際問題の解決には国際的な調整・処理メカニズムを通すことが必要だが、日本は核に言及する際は必ず自らを「唯一の被爆国」と語るのに、原発汚染水の処分問題では自国の利益を全人類の利益よりも優先している。日本政府は福島原発汚染水の海洋放出という決定によって、その環境外交における功利主義的で日和見主義的な価値観を余すところなく露呈したのである。(編集NA)
「人民網日本語版」2022年8月26日