習近平国家主席はこのほど、中国発展ハイレベルフォーラムの年次会議に寄せた祝賀メッセージの中で、「中国はルール、制度、管理、標準など制度型開放を着実に拡大し、各国、各方面が制度型開放によるチャンスを共有できるようにしていく」と述べた。
中国は初期の商品・要素流動型開放から、ルールや標準などの制度型開放へと転換し、ハイレベルの開放によって改革を全面的に深化させており、より大きな範囲の、より広い分野の、より深いレベルの対外開放の新構造を形成しようと努力している。
制度型開放とは何か?
制度型開放には主に、ルール、制度、管理、標準などに関する開放が含まれる。
制度型開放は商品・要素流動型開放と対応させた言い方だ。商品・要素流動型開放とは、対外開放の中で商品・要素の自由な流動を強調し、中国内外の市場を連動させることによって、商品・要素が世界の中で市場の法則に基づいて十分に移動するようにすることで最適な配置の実現を目指すものだ。これと異なり、制度型開放とはルールと制度の側面に焦点を合わせた変化であり、わかりやすく言えば、世界の先進的な市場ルールに主体的にベンチマーキングとマッチングを行い、中国国内の不合理で世界のルールと相容れない法律・法規を整備し、その上で国際的に通用している貿易・投資ルールとリンクさせ、規範化された透明な基本的制度体系と監督管理モデルを確立するというものだ。商品・要素流動型開放と比較すると、制度型開放はよりハイレベルの開放となる。
なぜこのような開放が必要か?
制度型開放は、中国経済の発展が新たな時代に入る上での内在的な要求だ。改革開放がスタートした後、特に世界貿易機関(WTO)への加盟以降、中国経済は世界市場と絶えず融合し、輸入関税の大幅な引き下げと国内市場の全方位的な対外開放を通じて、海外の商品、資本、技術などの要素を大量に呼び込み、中国経済の成長を力強く後押ししてきた。
現在、中国経済は新たな段階に入っており、発展のモデルが質と効率が高いモデルへと転換することは必然的な流れだ。供給側構造改革はこうした転換の具現化にほかならない。改革のスムーズな進行を推進するために、まず初めに制度を整え、新たな発展理念と合致しない法律・法規を整理し、時代と共に前進して制度型開放を推進することが必要だ。
また、制度型開放は、国際経済情勢の変化がもたらした外在的なニーズでもある。目下の国際政治・経済の構造は歴史的な変革の中にあり、国内経済の発展の鈍化、所得分配の深刻なアンバランスの影響を受けて、一部の先進国は保護貿易主義と一国主義を掲げるようになり、WTOをはじめとする多国間貿易ルールを破壊しようと試み、商品・要素の流動を滞らせ、世界経済の安定と発展に深刻な脅威を与えるようになった。
中国は世界2位のエコノミーとして、自国の発展という視点からより有利な外部環境を創出する上でも、大国としての責任を果たすという視点からグローバル経済ガバナンスシステムの変革を推進する上でも、制度型開放の推進に努めることが必要となっている。
中国はどのような制度型開放を実施してきたか?
国際ルールは国際社会が安定的に発展するための保障になるものだ。中国は真の多国間主義を堅持し、ルールを基礎とした多国間貿易体制を揺るぎなく守り、グローバル産業チェーン・サプライチェーンの安全・安定を守り、開開放され、公平で、非差別的な貿易投資環境を構築しようとしている。
制度と管理レベルはビジネス環境の重要な体現だ。中国は政府機能の転換に力を入れ、「放管服改革」(行政のスリム化と権限委譲、緩和と管理の結合、サービスの最適化)などの改革を推進し、すでに著しい成果を上げ、ビジネス環境は改善し続けている。
標準は経済活動と社会の発展を技術的に支えるものであり、国家の基礎的制度の重要な部分であり、国際競争の中で重要な位置を占めている。現在、中国では標準化をめぐる国際協力が踏み込んで展開され、標準の設定における透明性と国際的環境が最適化され続け、国際標準の準拠率が向上し続けている。
ここ数年、中国では外商投資法とその実施条例が打ち出され、参入前内国民待遇にネガティブリストを加えた管理制度が実施され、外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)は「スリム化」され続け、対外開放は商品・要素流動型開放から、ルールや制度、管理、標準など制度型開放へと転換しつつあり、中国が国際的な循環に参加する際の質とレベルが効果的に引き上げられ、国内と国際的な2つの循環「双循環」の相互促進が推進されている。
より多くのメリットをもたらす制度型開放
今年の政府活動報告は、外資の誘致・利用により力を入れることを打ち出した。米穀物メジャーであるカーギルの管慧麗中華圏総裁は、「新たな改革を推進し、市場開放、対外貿易の規制緩和、外資系企業の投資環境改善などの政策を打ち出すことは、外資系企業が中国でよりよく発展する上でプラスになる」との見方を示した。
ここ数年の間に、中国は外商投資法とその実施条例を打ち出し、外資参入ネガティブリストの条項を削減し、ビジネス環境の最適化を続けており、世界の投資・事業展開が盛んなエリアになっていた。スイスのネスレ、ドイツのBASF、米国のエクソンモービルなどの有名企業が中国での事業展開を積極的に行い、米国のフィディリティやヴァンエックなどの世界的な資産管理会社も中国の開放ムードの下、中国市場への投資で新たなチャンスを手にしている。
これまで何度も中国を訪れたことのあるエジプト人ビジネスマンのハイサム・タルハ氏は、「アラブ諸国の多くのメーカーと卸売商が原材料や製造ライン、製品を調達しようとする場合、最終的には決まって中国のものを選択することになる」と述べた。インドネシアのシンクタンクであるアジアイノベーション研究センターのバンバン・スルヨノ代表は、「より多くの外資系企業が中国を選び、追加投資を行っていることは、中国市場のポテンシャルと産業チェーンシステムに対する信頼の表れにほかならない」との見方を示した。
A株へのさらなる外資流入を期待
今年に入ってから、中国の資本市場に関するハイレベルの制度型開放措置が次々に実施されている。
一方では、中国証券監督管理委員会(証監会)がこのほど2023年の活動任務を計画する際、資本市場の制度型開放を安定的に推進し、国外市場との相互接続を深化させることを打ち出した。そのうち、上海・深セン・香港株式相互取引(ストックコネクト)は3月13日から実施され、株式相互取引の範囲が拡大された。
専門家によれば、今回の株式相互取引の範囲拡大は、資本市場が新たな発展構造の構築、ハイレベルの双方向開放推進に積極的に寄与するための重要な措置であり、海外投資家のA株市場への投資を円滑にし、中国大陸部と香港特区の資本市場の協同発展を促進する上で積極的な意義があるという。
その一方で、中国企業の海外上場に対しても、引き続きより透明で高効率かつ予測可能な制度環境を提供している。2月17日、証監会は中国企業の海外株式上場の届出管理に関する制度・ルールを発表した。同月24日には、同制度に関わる秘密保持と公文書管理のルール改正を発表した。
また、外資系機関が中国で事業を展開する場合の円滑レベルが高まり続けている。今年初めから現在までに、米国のブラックロック、マニュライフ、ニューバーガー・バーマンなど複数の外資系独立系公募ファンドが中国での支社設立申請を承認された。また、外資系証券会社の参入審査承認も安定的に推進され、1月19日にはスタンダードチャータード証券の設立が承認され、中国で初めて設立された外資系独立系証券会社となった。
中央財経大学の教授で資本市場監督管理・改革研究センターの陳運森センター長は、「資本市場のハイレベルの制度型開放措置が次々に実施されたことで、中国の特色ある現代的資本市場が高い強靱性と自信が示された。将来は開放的で包摂的な資本市場が引き続き海外投資家を引き付け、A株市場の投資家構造を絶えず最適化していくだろう」と述べた。(人民網日本語版論説員)
「人民網日本語版」2023年3月30日