中国科学院などがこのほど発表した「2022年大学生メンタルヘルス状況調査報告」によると、大学生のメンタルヘルスは全体的に良好で、ライフスタイルからの影響が目立っている。そして進学問題がそのリスク要素となっている一方で、恋愛が大学生にとって向上を促してくれる要素となっている。
中国科学院心理研究所・国民メンタルヘルス評価発展センターは2022年、山東省や河北省を含む31省(自治区、直轄市)の15歳から26歳までの大学生約8万人を対象に、メンタルヘルス状況調査を展開した。
調査では、自分の生活について、「ほぼ満足している」以上の評価をした大学生の割合が74.10%だった。また、「どちらとも言えない」が17.24%で、「満足していない」との回答は8.66%にとどまった。ただ、大学生は現状に対する満足しているため何も不安に感じていないというわけではなく、将来に対する不安に悩まされているケースも多い。
今回の調査は、睡眠やストレス、退屈といったライフスタイル関連の要素が大学生のメンタルヘルスに与える影響に焦点を合わせて実施された。また大学生の学業と恋愛の現状、それらのメンタルヘルスに与える影響も調査された。
その結果、大学生のストレスの主な原因は、「重い学業の負担」、「ホームシック」、「どんな仕事が自分に合っているのか分からない」などであることが明らかになった。また、大学生の50.44%が大学院受験を予定しており、それら学生のプレッシャーは受験予定のない学生を大きく上回っていた。また恋愛中の大学生は憂鬱度が最も低かった。恋愛中の大学生の割合は27.61%だった。一方、恋人がおらず、作りたいとも思わない大学生の割合は41.93%だった。「恋人がほしい」と答えた大学生の割合は25.40%だった。残りの学生は未回答だった。
今回の調査研究の企画に参加した中国科学院心理研究所の陳祉妍教授は、「大学生は恋愛する勇気を持てなくなっているのかもしれない。現代の生活において、便宜性や確定性が高まっているのがその主な原因だ。一生懸命仕事をしている姿を上司に見てもらい、昇進や昇給の機会を得ることが容易になっている。そしてたとえその仕事を辞めても、身に付けた仕事のスキルはそのまま持っていくことができる。一方、恋愛の不確定要素はより多く、勇気や知恵をより必要とする」と分析する。
ただ、恋愛がうまくいっていると、恋愛はメンタルヘルス向上をサポートしてくれる。報告によると、恋愛中の大学生の憂鬱度は最も低く、不安度も比較的低かった。一方、「恋人がほしい」と思っている大学生は憂鬱度や不安度が目に見えて高かった。また、退屈度を見ても、恋愛中の大学生は最も低かった。健全な恋愛は、大学生のメンタルヘルス向上を促進してくれるようだ。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年3月29日