2016年8月3日  
 

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<企画>ついに稼働停止――心温まる月面ローバー「玉兎号」の物語

人民網日本語版 2016年08月03日15:09

「玉兎号」はこんな「顔」

国家国防科技工業局が2016年8月1日に発表した情報によると、月探査機「嫦娥3号」の着陸機は7月28日、予定通り月の33日目の夜のスリープ期間に入り、探査機の月面作業時間の世界最長記録を更新した。一方、月面ローバーの「玉兎号」はすでにその稼働を停止している。

「玉兎号」は中国初の月面ローバーで、設計上の使用寿命は3カ月だ。2013年12月2日、「玉兎号」は月探査機「嫦娥3号」とともに、月に向かい西昌衛星発射センターを出発し、12月14日に月面着陸に成功した。12月15日に、「嫦娥3号」の着陸機と「玉兎号」は分離され、その後、「玉兎号」は順調に月面に到達した。>>詳細へ

 

2014年1月25日未明、「玉兎号」が月の2日目のスリープ状態に入る前に、システムの制御に異常が発生した。公式アカウント「@月球車玉兎」が微博(ウェイボー)で「あー、故障してしまった」とつぶやき、世界中から心配する声が寄せられていた。

世界各国から「玉兎号」が早く復旧することを祈る声や元宵節向けの祝いの言葉が送られたり、バレンタインデーには実際にバラの花が送られてきたりした。さらに、技術的な故障の解決策を送ってくる人まで現れたりと、心が温かくなるような数々のエピソードが生まれた。>>詳細へ

 

2014年2月13日、公式アカウント「@月球車玉兎」は微博(ウェイボー)で投稿した「Hi、誰かいますか?」というコメントに対し、8万人もの人々が「いいねボタン」を押し、11万人が転送し、7万人以上がコメントを残した。制御に異常が発生したまま月の夜を迎え、そのまま消息を断っていた月探査ローバー「玉兎号」が復旧したことに対する歓喜の声が、世界中に広がった。ロイター社やフランス通信社(AFP)、米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」、英国放送協会(BBC)などが続々とこのニュースを取り上げたほか、アメリカ航空宇宙局(NASA)も安否を気遣うコメントを微博(ウェイボー)に残した。>>詳細へ

2014年1月、「玉兎号」は月での二日目の昼に走行中に岩にぶつかり負傷した。その後、怪我をしたまま月の二日目の夜に入った。2月中旬に月の三日目の昼を迎えると、科学者はさまざまな措置を講じ、「玉兎号」を目覚めさせようとした。人々の希望が失われそうになった時、「玉兎号」は目を覚ました。

月探査機「嫦娥3号」の副総指揮・副総設計者である張玉花氏は、「玉兎号の設計上の使用寿命は3カ月だ。月の一昼夜は、地球上の約28日に相当する。玉兎号は地球から38万キロ離れ、数カ月が過ぎており、本体と設備は摂氏300度を上回る昼夜の気温差という試練に耐えている。熱により膨張し、寒さにより収縮し、電圧も下がってきている。私たちが想像していたより、玉兎号は強かった」と表明した。>>詳細へ

2016年7月31日、公式アカウント「@月球車玉兎」は微博(ウェイボー)で最後の「おやすみメッセージ」を投稿した。「やっほー! 今度は本当におやすみだよ! もっと知りたいことがたくさんあったんだけど……でもぼくは一番多くの星を見た兎になっちゃった! 今後もし宇宙のもっと深いところへ行ったら、きっと写真を撮っておいてね。月はぼくに長い夢を用意してくれたんだってさ。ぼくは夢のなかで火星に飛んで行くんだろうか、地球に戻りお師匠さまに会いに行くんだろうか?」

「玉兎号」はこれまで宇宙で972日間もの間、孤軍奮闘してきた。これは設計上の耐用年数がたった3ヶ月だった「玉兎号」にとってその年数を大きく超えており、「栄えある退職」と言えるだろう。>>詳細へ

月に上陸したその日から、「玉兎号」は毎日太陽が昇ると休みなく測量し、計算し、十数日後に太陽が山に沈むまで休まなかった。このような日々を1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、そして2年間も繰り返していった。本来の設計上の耐用年数は3ヶ月だけだったが、「玉兎号」はその耐用年数を大きく上回り2年半もの間、真面目に働き続け、月面作業の最長記録を樹立した。その間、玉兎号は月探査機「嫦娥3号」と7テラバイトものデータを記録し、人類の宇宙探査事業に向け多くの重要な研究成果を生み出した。

月のレゴリスの厚さを判明

「玉兎号」が取得したデータの分析により、月のレゴリス(地表面 における土壌)の厚さはこれまでの推算を大幅に上回っていたことが分かった。これまで推算されていた厚さは薄く、一般的には2−4メートルとされていた。「玉兎号」が着陸したエリアは比較的新しく形成された場所で、レゴリスの厚さはより薄いはずだが、実測値は5メートルに達した。>>詳細へ

新型玄武岩を発見

2013年、「玉兎号」は、「雨の海」のクレーター「紫微」付近を通過した際、サンプル採取を行い、過去の月探査ミッションと月隕石の研究では採取されたことのない岩石を発見した。中国科学院地質・地球物理研究所研究員の林楊挺氏は「少なくとも25億年前まで、月で大規模な火山の噴火活動があったことを意味する」と述べた。>>詳細へ

月に水がないことを証明

 嫦娥3号と玉兎号が協力し、月に水がないという直接的な証拠を初めて発見した。ハッブル宇宙望遠鏡が観測した月面の水分は中国の今回の発見を2桁上回るが、今回の観測は過去最低の数値を記録し、世界で初めて月に水がないことを確認した。>>詳細へ

初めて月から地球観測

月では大気の影響を受けず、連続観測期間が長くなることから、初めて月から宇宙を観測し、18万7000枚の画像データも入手した。さらに、月逸出層の水分の最新結果や、1300枚以上の地球のプラズマ画像データも入手している。>>詳細へ

「玉兎号」は2014年1月、微博のアカウント(@月球車玉兎)開設からわずか1カ月余りで7万人以上のフォロワーを獲得し、2016年8月現在では、60万人以上のフォロワーを有する。「玉兎号」は「第一人称」を使い投稿し、その一挙手一投足、月探査の原理と目的、宇宙に関する知識についてネットユーザと交流した。こんな人々に愛される「有名人」である「玉兎号」は、「2014年科学知識の普及を促進したネットニュース」、「2014年度中国10大科学ニュース」に選ばれた。

中国科普作家協会は、「玉兎号の投稿は、厳かなイメージのある国家重大科学技術プロジェクトの科学知識を親しみやすい言葉で説明し、月探査プロジェクトという高い技術力が求められる国家的行為を温かで可愛らしくした。玉兎号の微博による斬新な宣伝は、科学知識の革新的な伝え方のモデルになった」と評価した。

月における「玉兎号」の小さな歩みは、人類共通の関心事であると同時に、皆が心から願う大きな歩みでもある。インターネットでは、「玉兎号」の可愛らしいコメントが、世界中の人々の視線をひきつけ、科学技術が持つパワーが、中国の「バージョンアップ」したイメージを作り上げている。

 

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(編集SC)

「人民網日本語版」2016年8月3日

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