今年のネット流行語を見ると、特定の人にレッテル貼りをする傾向が読み取れる。中年の人を「脂ぎった」と表現し、若者のことを「仏系」と表現している。ネットユーザーからは、「『仏系青年』は、まさに自分のこと」、「心理状態がずっと『仏系』だったら、ちょっとネガティブになってしまうのでは」などの声が寄せられている。「仏系」という言葉に対する理解は人によって異なるようだが、「仏系青年」はネガティブな表現なのだろうか?それともユーモラスに自分をいじっているだけなのだろうか?中国新聞網が報じた。
あなたは「仏系」をどう理解する?
最近、ネット上で「90後(1990年代生まれ)の第一陣がすでに『仏門』に入った」と題する文章が投稿され、「仏系」という言葉が話題になるようになった。そして、ネットユーザーが「仏系」を使って、いろんな言葉を作っている。そのほとんどが90後の生活と密接な関係がある。例えば、「仏系恋愛」や「仏系大学院受験」、「仏系ゲーム」……などだ。
「仏系」という言葉は新出単語ではない。2014年に、日本メディアが、一人で時間を過ごすのが好きで、自分の趣味や生活リズムを大切にし、恋愛などに多くの時間を割きたくない男性のことを「仏男子(ぶっだんし)」と表現したことに端を発している。中国では17年、「仏系追っかけ」という言葉が、アイドルファンの間で流行した。それは、これまでアイドルの追っかけに熱中していたファンが、トラブルに疲れたのが原因で、怒ったり、ケンカしたりしない、平和な追っかけスタイルに変えたことを意味する。
「仏系」という言葉が人気になると、議論も巻き起こった。そして、「全てのことを『仏系』スタイルで片づけることはできない。生活上のとりとめのないことならどうでもいいが、恋愛は真剣にしなければどうやって実を結ばせることができるのか?真剣に仕事をしなければ、どうやって事業を成し遂げることができるのか?」との声のほか、「これは、90後が気持ちの整理をするために自嘲気味に『仏系』という言葉を使っているだけ」との声も上がった。ただ、多くのネットユーザーは、「『仏系』という言葉を使って、現実から目をそらし、逃避しているだけでは」と懸念を示している。
「仏系青年」は決してネガティブではない
南京の女子大生・余さんは、「『仏系』という言葉を初めて見た時、まさに自分のことだと感じた。私は、『仏系』とは、いろんなことをあまり追及しすぎないようにすることだと理解している」と語った。そんな余さんは最近、英語のテスト勉強をしており、「もちろん高い点のほうがいい。でも、予想していたほどの成績でなかったとしても、無理にどうこうしたくないし、来年またがんばればいいだけのこと」と「仏系」の心で臨んでいる。
洛陽(河南省)出身の疏桐さんは、「『仏系』という言葉が新しいだけで、そのような考え方は以前からあった。これは一種の心理状態にすぎず、社会で話題になるとその概念もちょっと偏るようになっている」と分析した。疏桐さんは今年、公務員試験と大学院入学試験を受ける予定だ。ただ、これまでに大学院試験を2回受けており、ストレスを増大させないために、今は「仏系大学院受験」の気持ちを保つようにしているという。
最近話題になった「脂ぎった」という言葉が中年の人々の危機を反映しているというなら、「仏系」という言葉は90後の現状を反映していると言えるだろう。17年、90後の最後の一陣(1999年生まれ)が成人になり、一部の90後は職場でその力を発揮し始めている。学校を出て社会に進出し、現実と理想のギャップを実感し、生活リズムの速さや熾烈な競争が、90後のストレスを増大させている。そして、戸惑ったり、イライラしたり、自分に自信が持てなくなったりしている90後も少なくない。そのため、ネット上では、自分をネタにするサブカルチャーが人気になり、それが社会にも広がっている。
中国社会科学院社会学所青少年・社会問題研究室の田豊・副室長は「90後は、インターネットの『原住民』。80後(1980年代生まれ)、70後(1970年代生まれ)とは違い、ネット用語を活用して、突っ込んだり、自分のことをネタにしたり、自分の考えをユーモラスに表現したりすることに長けている。真剣味がないと思う人がいるかもしれないが、実際には彼らは自分のことをよく理解している」と分析している。
「私が『仏系青年』だったら、博士課程入学試験は受けないでしょ」。「仏系」という言葉を初めて耳にした92年生まれの女性・胡さんは、「私は負けず嫌いな性格。特に、学業の面では最大限の努力を尽くすようにしているわ。でも、私にも『仏系』の一面がある。例えば、タクシーや地下鉄に乗ったりなど、生活の中のちょっとした事の中では、私も『仏系』になっている」とし、「『仏系』という生活態度を完全に受け入れるわけではないが、生活自体はとても大変なもの。些細なことを真面目に考えすぎる必要はなく、ストレスを軽減しなければならないわ」と話す。 (編集KN)
「人民網日本語版」2017年12月18日
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