▽サイドビジネスでスタバの若いファンを増やす
実際、春の桜のシーズンになると、スタバには桜モチーフのカップが登場し、数量限定のため、毎年ちょっとした争奪戦が繰り広げられていた。だが今回のような異常ともいえる人気は初めてのことだ。スタバは今年、31種類の「桜カップ」を販売し、猫爪グラスと同じ棚に並んでいる。子犬が桜を眺めているマグカップ、桜とペットのペアカップ、桜の木をモチーフにしたマグカップなどいろいろなカップがあるのに、なぜ猫爪グラスだけ人気が沸騰し、ネットで話題を集めるようになったのだろうか。
張さんは多くの女性の気持ちを代弁して、「自分も何匹か猫を飼っているので、猫を目にしただけで夢中になってしまう。このカップは大勢の猫好きをたちまち虜にした。ピンク色も乙女心をくすぐる。より重要なことは、消費能力が上がったのでさらに思い切りよく買い物できるようになったことだ。以前なら数百元も1千元以上も払ってカップを買おうとする人はいなかった」と話す。
40歳になる王さんはスタバのカップをコレクションしているが、そんな彼女は今回の騒動にはかかわらなかったとし、「このカップは容量が少なすぎて、コーヒーはもちろん飲めないし、ちょっとした甘い飲み物を飲む時くらいしか使えない。猫爪グラスに注目しているのは若い人がほとんどで、実用性はないけれど、若い女性たちから支持されていると思う」とした。
中国の食品産業アナリストの朱丹蓬さんは、「猫爪グラスの人気のわけは、スタバのプチブル的生活という位置づけや手の届くぜいたく品というブランドイメージと切り離せない。ここ数年、次世代の消費者が登場し、猫はこうしたプチブルを象徴するペットとなった。スタバは消費高度化の新トレンドに合わせ、プチブルの色彩を帯びた製品を打ち出し、正確なマーケティングに成功した」と分析している。
スタバは販売量を故意に減らしてはいないとするが、これまで低調だったスタバが今年初めてオンラインで大規模な人気イベントを打ち出したことから、中国市場における新しいタイプの競争を重視する姿勢がありありとうかがえる。中国ではコーヒー消費が急速に普及拡大し、新手のライバルも突如現れるようになっている。カップ事業はスタバのサイドビジネスに過ぎないが、今回の猫爪グラスのようなネットで話題を集められる商品によって、若い人がスタバを再認識するようになったことは間違いない。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年3月5日