メディアの報道によると、北京、上海、深センなど16の代表的都市の単身者のうち、「あまりよく考えないでぜいたく品を購入する」とした人が28.6%に上り、「毎月の最大の出費は自分の楽しみのためかつきあいのため」が31.6%に上ったという。
同センターは、「単身者層には家庭という負担がないので、消費プロセスでは自分が完全に中心になり、消費の動機は基本的に自分のニーズが方向性になる。こうした流れの中で形成された『自分を喜ばせるための消費』が非常に大きな消費パワーをもたらしたとともに、大勢の『月光族』も生み出している」との見方を示した。
専門家も、「『おひとり様経済』が過熱する原因として、きたる高齢化社会を前に、若者が徐々に少数派になり、生活にかかる圧力と若者の価値観が大きく変化したことがある。一方では家庭に対する意識が低下し、目下の不動産価格の高さ、結婚費用の高さ、コストの高さといった家庭の負担に直面して、多くの若者が結婚すれば家庭に対して非常に大きな責任を背負わなければならないのではと恐れ、予想もできないような生活の圧力に苦しむくらいなら、一人暮らしの気楽さを楽しみ、生活の質を重視し、より快適に暮らしていきたいと考えるようになった。また一方では一人暮らしをしていればそれに見合った衣・食・住・移動・日用品が必要になった。シェア自転車、ミニ家電、1人用食品などがこれに対応する」と指摘した。
▽潜在的な経済の新しい商機
「単身者の30%は毎月の最大の出費が自分の楽しみや集まりのため」、「スポーツジムとペットが多くの単身者の『標準装備』」。中国ではインターネットやビッグデータの技術の発展を受けて、EC企業がこうした「おひとり様経済」のニーズの変化を敏感にかぎつけるようになった。特にビッグデータプラットフォームが構築され発展するのにともない、今では多くのECプラットフォームや研究機関がビッグデータのアルゴリズムを利用して、おひとり様経済のニーズを解き放つよう、ますます小規模に細分化された商品を生み出すよう企業を手助けしている。
同センターの報告によれば、今後はコンビニエンスストアとデリバリーサービスが未来の買い物の主要シーンになる。重要なオピニオンリーダーの属性を備えたSNSがブランドや企業のフローをもたらす重要な源泉になる。「美しい外見と美しい魂はどちらも必要」という考え方が広まり、観光、化粧品、小型家電、ペット、職業訓練などの産業の好調な発展を後押しする。同時に、eスポーツ、2次元、ロング・ショート動画が精神的な消費を支える重要な要素になるという。
また単身者層のパートナーを求める気持ちが、ペット産業にとってはさらなる追い風になる。レストランやボードゲームといった、オフラインで友人と集まるシーンに関わるさまざまな消費財も継続的に利益を上げるという。
単身者層には高い購買力と強い消費意欲があり、娯楽、外食、教育などの企業が熱い視線を注ぐ「独身貴族」であることは確かだが、専門家は発展しつつある「おひとり様経済」には懸念材料もあり、その背後に「おひとり様の苦境」がうかがえると指摘する。若者が恋愛も結婚もしないことがトレンドになると、長期的には出生人口、世帯構造、人間関係といった面で一連の社会問題をもたらす可能性がある。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年3月14日