中米協力で赤外線が見えるマウス誕生 色覚異常者の治療に「光」

人民網日本語版 2019年03月11日10:32

中国と米国の科学者が協力して、本来は赤外線を捉えることができないマウスにナノ材料を注射して見えるようにする実験に成功した。哺乳類の動物に対する同実験の成功は史上初となる。赤外線を捉える技術は暗視スコープにも応用されているため、あるネットユーザーは、「目薬をさすだけで、夜間でも視覚が確保できるという夢を実現した」と書き込んでいる。しかし、実験に参加した中国科学技術大学の鮑進教授は、「ヒトの目で夜でも見えるようになるためには、まだかなりの時間がかかる。ただ、今回の発見により、色覚異常者を治療する『目薬』の開発にとって希望ができた」との見方を示している。北京青年報が伝えた。

赤外線を「可視光線」にするマウス実験に世界で初成功

子供の頃に、三角プリズムを使って、太陽の光が屈折させ、虹のような赤から紫までの7色の光を見る実験をしたことがあるという人は少なくないだろう。こうした光は、「可視光線」と呼ばれている。実際には、「可視光線」のほかに、肉眼では見えない「不可視光線」がある。例えば、可視光線より波長の長い赤外線。その視野を宇宙にまで広げている人類にとって、周りの赤外線を「見る」というのはなかなか叶えることのできない「夢」だ。

最近、この夢の実現に向けて、人類は大きな一歩を踏み出した。中国科学技術大学は公式サイトで、「同大学の生命科学・医学部の薛天教授率いる研究グループが米マサチューセッツ大学医学部の韓綱教授率いる研究グループと共同で、マウスの網膜にナノ材料を注射し、裸眼で赤外線を捉えて、赤外線画像を知覚できる能力を持たせることに初めて成功した」と発表した。赤外線暗視スコープの原理は、それを使って赤外線を捉えて、それを知覚し夜間でも視覚を確保するというものだ。そのため、あるネットユーザーは「今後はヒトも目薬をさすだけで夜間でも視覚が確保できるようになるということか」と書き込んでいる。

この研究の筆頭筆者である鮑教授は、「人類の網膜の構造とマウスの網膜の構造は似ており、理論上は、この技術を人間にも応用できる。しかし、実際にそうするにはまだかなりの時間が必要だ。それに、夜間に視覚を確保することが本当に必要なのかも分からない。その実験を実際に行いたいと思っても、理念や倫理的審査がまず必要だ」との見方を示す。

実験に参加した韓教授はメディアの取材に対して、「理論上は、このナノ材料は人に対しても有效だ。研究チームは犬を使った実験を今後行う計画だ。現有の赤外線暗視スコープを装着すると、人の目の通常視覚は影響を受ける。実験は、その種の新材料は赤外線を感知できると同時に、通常の視覚も維持することができることを示している。およそ10週間で、夜でも視覚を確保できる能力は消失するが、マウスの視覚は影響を受けていなかった」と説明した。

「現状からして、この新技術を使った色覚異常者の治療に大きな希望ができた。ある意味、赤外線が見えないというのも、色盲の一種だ。赤外線を可視光線に変える技術により、色覚異常者が見えない光を見えるようにすることができるかもしれない。この観点から見ると、この技術は色覚異常者にとっては福音だ」と鮑教授。(編集KN)

「人民網日本語版」2019年3月11日 

  

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