日本の小都市の経済を活性化した1本のアニメ (2)

人民網日本語版 2019年03月15日10:26

夏目ファンの村田万里さんは作品の舞台になった人吉市を訪れた。作品には背景が細かくリアルに描き込まれ、神社や鉄道駅などいろいろなシーンがほぼ実物通りに描かれている。村田さんは、「自分は主人公と生い立ちが似ている。現実の世界の中にアニメと非常によく似たシーンを見つけた。それでここに来てアニメの世界に浸ろうと思った」と話す。

08年にテレビ放送がスタートしてから10年間、アニメのストーリー展開に合わせ、日本全国各地の夏目ファンがひっきりなしにこの地方都市を訪れている。こうした動きを受けて、アニメに関連した旅行記念グッズを売り出す企業も少なくない。またキャラクターの白猫(ニャンコ先生)が市内のホテル、レストラン、ショッピングセンターなどに姿を見せている。思い入れをもってこの地を訪れるファンたちのために、現地のタクシー会社は作品に登場する場所をピックアップし、作品の舞台をめぐる観光プログラムを打ち出した。

1本のアニメ作品がそれほど有名ではない小さな地方都市を人気観光都市に一変させた。統計によると、日本各地にあるアニメの舞台になったことで観光地になった場所は約5千ヶ所あり、ファンがもたらす経済効果は毎年500億円を超えるという。

▽日本のアニメ産業チェーンが力強い伸び

「夏目友人帳」のように、日本のアニメ作品には力強く規模の大きな周辺産業を抱えるものがたくさんある。

東京の秋葉原にあるアニメをテーマにした眼鏡店では、200種類を超える眼鏡のすべてがアニメの登場人物やストーリーに関連したデザインになっている。つるの部分が作品に登場する人気のツールになっているものや、キャラクターの髪の毛と同じ色の眼鏡などがあり、作品の世界観を高度に再現する精密なデザインで、若いアニメファンが大勢この店を訪れて眼鏡を買うという。店主の常田瑛久さんは、「昨年の売上高は大体2億円だった。ほぼ毎年売上高が30%前後伸びている」と話す。

日本のアニメを取り巻く産業は多種多様で、眼鏡やアパレル製品といった日用品から、カフェなどの外食産業まで幅広く、成熟し整備された産業チェーンを形成している。ここ数年は中国のアニメ周辺市場の営業収入の75%以上が日本などのアニメグッズメーカーに流れ込んでいる。だが中国で高水準のアニメ作品が次々誕生して、中国にも独自のアニメ産業チェーンが徐々に形成されている。

江蘇省蘇州市の純国産アニメをテーマとしたカフェには、豊富多彩で丁寧に作り込まれた関連グッズが置かれ、さまざまな年代の消費者がわざわざここまで買いにやって来る。責任者の説明によれば、18年を17年と比べると、周辺グッズやカフェメニューを含む売上高の単月の増加率は最高で25%に達したという。

現在、中国には汎二次元(二次元と二次元周辺)の消費者が2億7千万人おり、アニメ関連グッズ市場の規模は今年で800億元(約1兆3300億円)に達する見込みだ。業界関係者は、「消費者のアニメ関連グッズに対するニーズがどんどん拡大しており、周辺産業には非常に大きな発展の可能性がある」と話す。(編集KS)

「人民網日本語版」2019年3月15日

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