新たな海外旅行先として人気を集めているスリランカだが、このほど連続爆発が起こり、観光客の安全確保が難しいことから、観光産業が今後低迷する可能性がある。ここ数年、中国人観光客の間でスリランカ旅行熱が高まり、豊かな自然環境や動植物資源を求めて、家族旅行や教育旅行で訪れる人が増えていた。業界内部には、「今回の爆発はスリランカ観光市場にしばらくの間、大きなダメージを与えるだろう」との見方が出ている。「北京商報」が伝えた。
爆発が起きると、Lvmama.com、携程旅遊網、途牛旅遊網、衆信旅遊、中青旅、凱撒旅遊など多くの中国国内旅行会社がただちに現地にいる観光客の安否を確認し、観光客の安全確保のための緊急対応マニュアルを発動した。携程の関連部門責任者は、「携程のサイトか実店舗で団体ツアー、フリーツアー、現地オプション、オーダーメイド商品などを予約し、21~24日に出発予定だった観光客に対して災害基金を拠出し、無償でキャンセルに応じるほか、出発前の予約に関して発生した損失は最終的に会社側がすべて負担する」と述べた。Lvmamaは、「顧客の同意を得た上で、ツアーの目的地や行程を適宜調整する。航空券を予約済みで出発前の顧客に対しては、航空会社の最新の規定に基づいてキャンセルや変更に積極的に応じる」とし、凱撒は、「突発的事態緊急対応チームを立ち上げた。21日にスリランカに到着したチームは、ツアーのルートを速やかに変更して爆発のあった地域や教会の周辺に行かないようにした」という。
ここ数年、動植物資源や観光資源が豊富なスリランカは中国観光市場で急速に人気を高めていた。データをみると、2017年には中国人観光客のべ27万人がスリランカを訪れた。同年のスリランカ観光市場で中国は2番目の観光客供給源になった。18年になると、スリランカの国内外観光客数はのべ230万人に達し、前年比10.3%増加。中国は引き続き海外の観光客供給源の中心だった。
中国観光研究院の呉麗雲副研究員は、「現在、海外人気観光地であるスリランカは、今回の爆発により中国人観光客の海外旅行ニーズが目に見えるマイナス影響を受けるだろう。ここ2年ほどスリランカ家族旅行商品の人気が上昇していたが、こうした旅行を選ぶ人は現地の安全確保のメカニズム、関連のインフラやサービスに対する要求水準が高いのが一般的だ。よって爆発を受けてスリランカ旅行商品のニーズは容易に、かつ急速に低下するだろう。中国の子育て世帯のスリランカ旅行の安全性に対する信頼感を取り戻すにはしばらく時間がかかる」と話す。
ベテラン旅行専門家の王興斌さんは、「自然災害や突発的な事件は避けるのが難しい。今回の爆発は短期的に大勢の中国人観光客のスリランカ旅行の計画を思いとどまらせ、スリランカ観光市場は打撃を受けることになる。突発的事件、思いがけない事件による被害を防ぐため、中国人観光客は海外旅行における防犯意識を高め、出発前に旅行保険に加入する必要がある」と指摘する。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年4月22日