米国は現在の日韓貿易紛争で余り大きな影響を受けないと一般には考えられている。だが客観的には、米国が部外者を決め込むことはあり得ない。日韓両国間には歴史的怨念があるが、米国にとっては両国共に同盟国であり、親密な戦略パートナーだ。だが、日韓両国は相互牽制の関係にもあり、紛争がひどくなれば、米国をもっと必要とし、米国に依存するようになる。高氏は「したがって米国にとっては、日韓両国の争いが生きるか死ぬかのレベルに達して、自国のアジア太平洋戦略に影響が及ぶのでない限り、ある程度以下の争いは、自国にとって有利であり、歓迎するのだ」と指摘する。
「日韓貿易紛争によって中国の企業と製品への韓国企業の需要が増大するかもしれない。これは中国の一部の業種と企業にとって『チャンス』だ」と考える人々もいる。だが高氏は「産業チェーンが断ち切られるため、中国にとってマイナスだ。さらにこれは、中日韓自由貿易協定(FTA)交渉に影響を与え、中日韓さらにはアジアの経済統合プロセスの発展に影響を与える。中国は中日韓FTA交渉を加速する必要性を主張し続けてきたし、G20大阪サミットでも改めて主張した。また、RCEP交渉の早期妥結を後押しし続けてもいる。日韓対立はアジア地域全体の経済統合プロセスに極めて大きな影響を与える。日韓両国はこうした協力の重要な参加国なのだから」と指摘する。
実際には米国はかねてより、日韓が接近し過ぎることを懸念し、将来日韓への中国の影響力が強まっていくことを懸念してきた。「日韓の中国接近は、米国離れでもある」。このため高氏は北東アジア経済協力プロセスの遅滞の観点から見て「日韓貿易紛争の背後に、米国の影がないとは言い難い」と指摘する。日韓貿易紛争について、米国はまだ正式な姿勢表明をしていない。米国にとって日韓は共に同盟国であるため、どちらの側に着くか容易には表明しにくいのかも知れない。だが懸念を表明するだけでも、米国が「必要とされる」ことの重要性を示すのに十分だ。(編集NA)
「人民網日本語版」2019年7月24日