オレンジ色の法被を着て、魚市場や和食レストランの店員のような姿で取材を受けた長崎県貿易協会上海代表処の黒川恵司郎所長(47)は、「上海の人気観光スポット・外灘(バンド)にある和食レストランのイベントに参加するためにこのような格好をしている」と話した。新華網が報じた。
「イベントのテーマは『コロナに負けず、市場を盛り上げる』で、4月から上海で主にこのイベントの準備を進めてきた」と黒川所長。
2月中旬に、上海で初めて黒川所長に会った時は、国際物流ルートが閉ざされつつある状況下で、長崎県と同県に属する3都市の自治体が緊急調達したマスクや防護服、手袋、防護ゴーグルなどの医療物資を、少しでも早く日本から中国へ送り、さらに新型コロナウイルス感染流行が最も深刻だった湖北省や、長崎県の友好都市などにそれを配布できるよう、対外調整を忙しそうに進めていた。
それら中国への医療援助物資の調達は、黒川所長が長崎県に提案し行われた。当時、新型コロナウイルス感染が中国で爆破的に流行し、湖北省などの地域では、医療物資や衛生用品などが不足し、緊急支援を必要としていた。
長年にわたり、長崎県と中国の福建省、湖北省、上海市は友好関係を築き、同県に属する長崎市、大村市、佐世保市なども、福州、中山、瀋陽、厦門(アモイ)、上海閔行などの都市と友好都市として交流してきた。長崎県立大学は、湖北大学と国際交流提携を締結している。さらに、長崎には多くの華人・華僑が暮らしている。「新型コロナウイルス感染が流行している中国を、長崎県が援助するというのは至極当然のこと」と黒川所長。
長崎県の対中国支援物資に貼られた「今は険しい道だが、長崎の友情はいつも共に在り」という中国語のメッセージは、中国の人々を感動させた。
新型コロナウイルス感染が、日本を含めた世界中に広がる中、中日両国の国民は「友情はいつも共に在り」という思いを抱き、この特殊な時期に、実際に互いに見守り合い、助け合っていると言えよう。
3月中・下旬からは、上海市人民外事弁公室や上海市人民対外友好協会などの政府当局や機関は、日本の友好都市を含む世界の友好都市数十都市の政府や友好協会などに次々と援助の手を差し伸べ、長崎県だけでも、N95マスク2万5000枚を贈呈した。上海から長崎に送られたマスクの段ボール箱には、「互いに助け合い、難関を乗り切ろう」、「がんばれ長崎」など、心温まるメッセージが貼られていた。
中国と日本は互いにエールを送り合い、各国に団結して新型コロナウイルスを封じ込めようと呼びかけている。「共にウイルスと闘うというのは、絶対に必要なことで、それは唯一の選択肢でもある」と黒川所長。
長崎県貿易協会上海代表の所長を3年間務めてきた黒川所長は、「今回の上海でのウイルスとの闘いは、とても貴重な勉強であり、経験になった。そして今後のキャリアに大きな影響を与えることになるだろう。『今は険しい道だが、長崎の友情はいつも共に在り』というのは、日中両国が共にウイルスと闘っている証で、僕自身の上海でのウイルスとの闘いにおける思いがそこに詰まっている。上海での経験を是非一人でも多くの人に伝えたい」とした。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年4月30日