感染症の打撃受けた世界産業チェーン その影響を受ける中国の業界は?

人民網日本語版 2020年04月27日10:48

上海財経大学高等研究院が23日に発表した「2020年第1四半期中国マクロ経済情勢分析・予測報告」によると、新型コロナウイルスによる感染が世界的に拡大し、グローバル化した世界経済に大きな打撃を与えるとともに、多方面で中国経済へのマイナス影響が生じているという。澎湃新聞が伝えた。

同報告によれば、世界の産業チェーンという角度からみると、感染症は先進エコノミーの消費への信頼感を大きく損ない、生産活動が急激に縮小した。こうした外部ニーズの急激な減少は中国の輸出の大きな妨げとなった。特に電気機械、繊維、衣類などの業界への影響が大きい。このほか感染症はグローバル産業チェーンの中で生産を行う一部の中国の対外貿易企業の生産にも影響を及ぼし、中国からグローバル産業チェーンへの供給が減少した。

20年第1四半期(1-3月)には、人民元建てで計算すると、物品輸出入総額が6兆5742億元(1元は約15.2円)で前年同期比6.4%減少した。米ドル建てでは、輸出入総額は9432億2千万ドル(1ドルは約107.7円)で同8.4%減少、うち輸出総額は同13.3%減の4782億1千万ドル、輸入総額は同2.9%減の4650億1千万ドルだった。

同報告によると、より深刻なことは、感染拡大が資源の国境を越えた流動を阻み、中国国内生産の供給チェーンにとって非常に大きな挑戦になったことだ。感染症の打撃は個別の業界や対外貿易に影響を与えるだけでなく、供給チェーンを通じて国内にも波及効果を及ぼし、川上から川下に至るつながりを通じて感染症の影響を蔓延させ、最終的にすべての業界へと拡散し、経済全体を全面的な下ぶれという厳しい状況に直面させるという。

同報告は、感染症によって起きた国際産業チェーンの供給断絶に対応するため、各国はやむを得ず各国国内の生産ラインを補強することになり、これが客観的にグローバル産業チェーンを縮小させ保護貿易主義の流れを強化すると予想する。同時に、グローバル貿易のリスクが増加して海外直接投資(FEI)をさらに減少させ、世界の生産資本は長期にわたり再分配とリバランスが行われることになるという。

(自国の輸出に海外の中間財がどれくらい使用されるかを示す)「後方への参加度」という角度からみて、同報告は次のように分析した。輸出に海外の生産付加価値額が含まれる割合が高い業界であるほど、感染症の影響を強く受けることになる。現在の主要業界とそれに含まれる海外の生産額の割合は、コークス・石油製品製造(約35%)、コンピューター、電子製品・光学製品製造、電力設備製造(約30%)、ゴム・プラスチック製品、一般的金属製造、その他の輸送設備製造(約18%)となっている。

このうちコンピューター、電子製品・光学製品製造、電力設備製造は海外での生産付加価値額が中国の海外生産付加価値額全体の50%近くを占めるため、外部産業チェーンの供給断裂のリスクは主にこうした業界への影響となって現れる。

またもし一部の業界において輸出用の中間財に使用される輸入品の割合が高ければ、外部からの影響も大きくなる。こうした業界及びその輸出における中間財の輸入品が占める割合は、コンピューター、電子製品・光学製品製造、電力設備製造(約53%)、繊維製品製造(約43%)、電子設備、化学工業、一般的金属の製造(約30%)となっている。同報告はこうした業界も大きな影響を受けると予想する。

同報告は、「新型肺炎が国際産業チェーンにもたらした打撃は、短期的に中国経済の下ぶれ圧力を増大させただけでなく、中長期的発展にとっても挑戦になった。別の角度からみると、このことは成長モデル転換の必要性と緊急性をより一層明らかにし、サービス業の発展と経済構造のモデル転換の加速に対しより高い要求をつきつけた。経済成長が外需主導型、要素駆動型から、消費牽引型、効率駆動型へと動力スイッチを切り替えられるかどうかがカギになる」との見方を示した。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年4月27日

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