
シンガポールのKishore Mahbubani元国連大使はこのほど米外交専門誌「ナショナル・インタレスト」への寄稿で「トランプ政権には熟考した包括的で長期的な対中戦略がない。問題を処理する能力と強大な精神力があるとのイメージを米国は確立できていない。新型コロナウイルスの感染拡大とフロイド事件の発生後に米国が世界の人々に与えた印象は、その正反対だ。比べてみると、トランプ政権は中国の地位を高めた。現在中国は世界において、より能力のある国だとされている」と指摘した。
また「トランプ政権はキッシンジャー氏やジョージ・ケナン氏のような戦略思考家の賢明な提言を聞き入れていない。ケナン氏は米国は友好国や同盟国を積極的に育てなければならないと強調した。トランプ政権は友好国や同盟国との関係を深刻に破壊した。米国は世界が世界保健機関(WHO)を最も必要としている時、特にアフリカの貧困国を支援している時に、WHOからの脱退を選択した。これは極めて無責任な行為だ。米国に追随してWHOから脱退した同盟国は一つもない。トランプ政権はカナダ、メキシコ、ドイツ、フランスといった同盟国に対して関税を課すと脅してもいる。米国に対する世界の尊敬が薄れ、中国のためにさらに広大な地政学的空間が開かれたことは間違いない。オルブライト元国務長官はかつて「我々はなくてはならない国だ。我々は高くそびえ、他の国々よりも遠い未来を見据えている」と語った。トランプ政権は米国をあってもなくてもよい国にして、中国に別の地政学的ギフトを贈ることに成功するかもしれない」とした。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年6月12日
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