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夏の魂を呼び覚ませ!串焼き消費市場はなぜ回復できたのか?

丸わかり!中国キーワード

人民網日本語版 2020年06月16日09:13

串に刺された肉が炭火の上で次第に焼けていき、炭の上に落ちた脂がジリジリと音を立てて焦げ、肉の焼ける香りがあたりに漂い始める。そこにクミンシードと粉トウガラシを一振りすれば、暑い夏に中国の人々を最も癒してくれるグルメの出来上がり。そして夏の魂が串焼きによって呼び覚まされる。

串焼きにはどうやら一種特別な魔力があるようだ。それは人々の最も衝動的な食欲をかきたてる。中国の串焼き、シンガポールのサテ、ギリシャのスブラキ、ポルトガルのエスペターダ、日本の焼き鳥など、世界中で無数の人が串焼き料理から漂ってくる香りに抗えずに吸い寄せられていく。

そして中国人にとっては、どんなものでも串焼きの食材になる。

牛肉や羊肉などの肉から、脳みそや大腸といった内臓まで、夏の風が吹くと、炭から上がる深紅の炎が一段と燃え盛り、ビールすら盛んに泡を立て始める。都市の洗練されたオフィスワーカーにとっても、仕事を終えた村人にとっても、夜の帳が下りると、串焼きは一日の終わりを告げるセレナーデになる。

古代の人はどんな風に串焼きを食べていたのか?

実のところ、串焼きは別に現代人が創り出したものではなく、漢の時代(前漢<紀元前206年- 8年>と後漢<25年-220年>)にはすでに非常に流行していた。

河南省で出土した洛陽焼溝61号前漢墓壁画には、古代の人の串焼きに関する知恵が生き生きと描かれている。この壁画の一番左側で後ろを振り返っている筋肉隆々の男をよく見てみると、それは獣首人身で、その視線をたどってみると、右側に肉を焼いている人が2人いる。彼らは手に長い串を持ち、肉をぶら下げ、黒い四脚の炉で串焼きをしている。

よく見られる牛肉や羊肉の串焼き以外にも、古代の人はセミのおいしさを偏愛していたようだ。

陝西歴史博物館には後漢時代の串焼き用の炉が収蔵されている。外形は現代の串焼き用コンロとほとんど変わらず、炉の上に2本の「鉄の串」が置かれており、それぞれセミが4匹刺してある。ある学者の推測によると、漢代の人はすでに焼いたセミをグルメとして楽しんでいたという。

河南省でも、一部の漢墓から鉄製の串焼き用の炉が出土している。例えば1950年代に発掘された洛陽焼溝前漢後期墓や、1992年に発掘された洛陽金谷園後漢中後期墓などで、鉄製の炉が出土した。これは、串焼きという調理方法が、前漢・後漢期に盛んになっていたことを裏付けている。

つまり、後漢の時代、中原地域では経済が比較的発達し、串焼きは日常食になっていただけでなく、死後の世界でも食べたいと願うようなものになっていたのだ。

串焼き消費市場が復活

串焼きはずっと中国の食文化において重要な地位を占めてきた。

NCBD(餐宝典)のデータによると、2018年、中国における串焼き店の数は31万軒を超え、串焼きが飲食市場に占める割合は4.0%に達した。2019年上半期、中国における串焼きの主な消費者層は26-35歳の消費者で、その割合は69.3%にも達していた。男女比では、女性が53.2%、男性が46.8%となっていた。また客単価では、30-60元(1元は約15.1円)が68.2%、次が30元以下で22.3%だった。全体として、串焼きの客単価は飲食業界の平均より高く、2018年は77.1元に達した。

企業情報サイトである天眼査Proのデータによると、中国には企業名か経営範囲に「焼◆(◆は火へんに考、串焼き)」を入れている企業が37万社以上あり、しかもその企業状態は経営中・存続・登記機関転入・登記機関転出となっており、個人事業主の割合は97.33%に上っている。

地域分布では、山東省が全国で最も串焼き関連企業が多く、3万社以上にも達しており、全国の串焼き関連企業総数の8.22%を占めている。雲南省と黒竜江省がそれに次いでおり、それぞれ2万8000社、2万4000社の串焼き関連企業がある。

中国経済が全体的に回復基調にある中、気温が上昇するにつれて、人々の串焼きを食べたいという欲求が高まり、串焼き業界もそれに乗じて、勢いよく回復してきている。

美団点評の張川高級副総裁は、「新型コロナウイルス感染症の拡大が一段落した後も、串焼きの客単価は下がらず、むしろ上がっている。3月から5月までの美団のオンライン注文プラットフォームにおけるデータでは、串焼き注文客単価の92%は100元を上回った。4月だけでも、串焼きのオンラインでの1日当たり注文数は、3月と比べ154.4%増となった。5月も依然として30%を上回るスピードで増加し、単価の高い状態が続いている。『リベンジ的』消費はまだ来ていないが、『リベンジ的』に串焼きを消費する現象はすでに始まっている」と指摘している。

串焼きはなぜ人気なのか?

夏に最も人々を魅了する暮らしの光景は、賑やかな串焼きの露店にある。串焼きを好まない人はいないだろうが、人々が串焼きを好む理由は単にその味なのではなく、調味料と炭火で焼かれた食材が醸し出す美味を口にした時のあの満足感だ。また、串焼きは食欲を満たすだけでなく、中国人にとって欠かすことのできない社交の方法の1つでもある。

串焼きを何本か頼み、冷たい生ビールを飲み、「悪友」たちと大声で語り合い、愚痴を言い合ったり、なんということもない雑談に花を咲かせたりする。ネガティブな気持ちはすっかりなくなり、楽しさだけがこみ上げる。それはまさに、「串焼きを1回食べれば、解決できないことなどない。もしあったら、もう一度食べればいい」という言葉の通りだ。

このほか、串焼きは「リップスティック効果」と類似した経済現象でもある。

米国では、経済が不景気になると、口紅の販売数がかえって一気に増加する。それは、高い美容サロンと比べると、1本当たりの単価が低い口紅のほうが経済的で実用的な選択だからだ。女性たちは口紅を買うことで美に対するニーズを満たす一方で、こうした「廉価だが、必需品ではないアイテム」によって、「元の生活レベルを保つ」という自らに対する慰めを得ることもできる。

これがよく知られている「リップスティック経済効果」だ。コロナ感染症拡大中に直面した苦境と同じように、景気後退は一部の人にとって収入減につながる。こうした状況下では、彼らが住宅や車の購入、海外旅行など高額消費支出をすることは難しいが、串焼きをお腹一杯食べたり、洗練された口紅を買ったりすることで、今までと同じように生活を楽しむ感覚を味わうことはできる。

また串焼きを頼む時には、「5本か10本まとめて注文」というように多くの本数を一度に頼むことで直接味覚が刺激され、気持ちが盛り上がる。こうした「豪快で太っ腹な」注文をすることで、消費者はこの特殊な期間においても安心感を覚え、楽しさを感じることができる。

こうした経済学の道理で、なぜ串焼きが短期間で売上を回復し、さらに長い期間にわたって、深夜に人々の胃袋を満たし、次第に飲食業界を実質的に牽引するようになったのかを説明することができるだろう。

ポストコロナ時代、標準化とブランド化が主流に?

2013年前後、串焼き業界は大流行を迎え、2016年下半期になると徐々に流行が落ち着いていった。ここ数年の発展を経て、現在中国の串焼き店数は30万軒近くに上り、飲食市場全体の約4%を占めている。

店舗数が年々増加するにつれて、串焼き業界は転換期を迎えている。国内の一、二線都市では、串焼き業界はすでにブランド化・産業化による発展拡大段階に入っており、各大手串焼きブランド店が都市の串焼き市場をほぼ占拠している。しかし三、四線都市では、串焼き業界は依然として主に屋台街や串焼き露店の形で経営されている。しかし、若者のライフスタイルと消費ニーズが変化したことで、串焼き業界も必然的に生産標準化や消費シーン化の改革を迫られている。

串焼き業界の競争は、すでに1つの次元における競争から、商品選択やシーン、マーケティング、抱き合わせ販売、サービスなどいくつもの次元に関連する総合的な競争へと変化している。

串焼き業界の発展にともない、ますます多くの文化産業が注目の眼差しを向けている。「人生一串(The Story of Chuaner)」や「風味人間(Once Upon a Bite)」など、グルメを題材にしたドキュメンタリー番組が大人気になったことで、各地に点在する串焼き店がさらに多くの人に知られるようになり、串焼きは都市経済と文化の新たな代名詞にもなっている。(編集AK)

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「人民網日本語版」2020年6月16日 

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