「爆買い」と言われるように、中国人消費者の購買力は世界的によく知られている。中国人消費者はどのような商品やブランドを好むのだろうか。阿里研究院がこのほど発表した「中国消費ブランド発展報告2020」によると、過去1年間に、中国人のネットショッピングのショッピングカートに入った商品の80%以上が国産品だったという。
京東はさきに発表した「中国ブランド消費トレンド報告2020」の中で、「中国ブランドは品質向上・ペース加速で目に見える効果を上げ、今やユーザーにとって一番最初の選択肢になった」と指摘した。京東のデータによれば、2019年の中国ブランドの商品・ブランド数、のべ注文者数、受注量の前年比増加率はいずれも輸入ブランドを超え、両者の差は20%を超えたという。
ECプラットフォームが国産品に肥沃な大地を提供している。阿里巴巴(アリババ)集団の劉博副社長は、「個性化した消費が新国産品ブームを牽引しており、ECプラットフォームは国産品ブランドの『車線変更による追い越し』にとって最大のチャンスになる。多くの中国ブランドは天猫(Tmall)プラットフォームで急速に成長を遂げている。たとえば(スキンケア製品ブランドの)宿系之源は天猫の旗艦店オープンから取引額が累計1億元(1元は約15.3円)を突破するまで、わずか7ヶ月しかかからず、(化粧品ブランドの)花西子は1年、(コーヒーの)三頓半は17ヶ月で、いずれもペースの速さは驚異的だ」と述べた。
ライブ配信が老舗ブランドに新たな競争の道を開いている。アリババのデータによると、2019年にライブ配信プラットフォームでは老舗ブランドの67%がライブ配信を行い、日用品や食品・外食産業の老舗ブランドはライブ配信のマーケティングが産業全体の売上高を21.6%と13.3%、それぞれ引き上げた。2月には老舗レストランの杏花楼の青団(もち菓子)がライブ配信開始から10秒で13万箱を売り上げ、3月に老舗紡績メーカーの恒源祥の天猫旗艦店の取引額が同100%以上増加し、老舗貴金属店の老廟黄金は上海の「五五購物節(55ショッピング・フェスティバル)」で天猫旗艦店での取引額がわずか1時間で同4000%以上増加した。
業界の枠を超えた協力に新たな手法が加わっている。ここ数年、多くの中国ブランドが業界の枠を超えた商品を打ち出している。たとえば燕京ビールが文化クリエイティブグッズを売り出し、白酒(蒸留酒)メーカーの瀘州老窖が香水を売り出し、虫除け・かゆみ止め薬の六神花露水の香りのカクテルや大白兎ミルクキャラメルの香りのリップクリームも登場した。業界の枠を超えた新製品は老舗ブランドのために新たな市場を切り開き、多くの若い消費者を引きつけた。
品質が向上を続けていることが、国産品人気の根本的原因だ。米マッキンゼー・アンド・カンパニーは「消費者調査報告2020」の中で、「中国企業はもはや低価格製品の生産に着目せず、製品の品質、性能、価値を向上させようと努力している。調査によると、乳製品やデジタル製品などのジャンルでは、消費者の3分の1近くがハイエンド製品では中国ブランドを選ぶことがわかった」と指摘した。
北京大学光華管理学院の張影副院長は、「国産ブランドに対する消費者の認知度が上昇したのは、実際には中国製造業の水準とブランド運営水準が上昇を続けているからであり、ブランド側の消費者の目を引きつける力が飛躍的な進歩を遂げたからだ。中国製造業は効率アップを通じて、より低コストで消費者のニーズに応え、消費者に高品質・低価格の商品を提供するようになった」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年6月5日