資料写真:中国のVT1A型戦車 |
中国の張軍国連大使は6日、武器貿易条約(ATT)への加盟に関する文書をグテーレス事務総長に提出した。規定に基づき、提出から90日後に条約は中国に対して発効する。これにより中国は107か国目の締約国となる。
中国はなぜATTに加盟するのか。中国の加盟は世界の軍備管理及び平和的発展にどのような影響を与えるのか。こうした問題について、人民網は中国軍備管理・軍縮協会の上級顧問を務める徐光裕氏に話を聞いた。
中国側が正式加盟を選択した理由について、徐氏は次の3点を挙げた。
(1)現在までにすでに半数以上の国々が同条約に正式に加盟している。これは条約が大多数の国々に受け入れられていることを意味し、中国がこの状況を軽視することはできない。
(2)「トラブルメーカー」の米国は昨年4月にATT脱退を宣言した。実はオバマ前大統領は条約に署名したが、上院で批准されないままだった。米国の脱退によって国際的な軍備管理の情勢は破壊された。だが中国は大国として無関心ではいられず、王毅外交部長(外相)が第74回国連総会でATT加盟を正式に表明し、その後数か月間の国内法手続きを経て、正式に加盟文書を提出した。
(3)ATTは動態的に発展し、状況の発展と変化に従い、条項の修正を通じて補い、改正することができる。大国として中国は、軍備管理のルール制定に参加する発言力を持たなければならないが、ATTに加盟しなければそれは不可能だ。従って、中国が通常兵器の軍備コントロールの面で発言力を勝ち取るには、この条約に加盟するべきだ。
■大国としての責任を積極的に引き受け、世界の軍備管理体制を安定化
徐氏によると、最近国際的な軍備管理の情勢が不安定なのは、主に米国の一連の「脱退」行為に由来する。武器貿易条約、中距離核戦力(INF)全廃条約、 オープンスカイズ条約等だ。宇宙の軍事利用その他一連の軍備コントロールの問題においても、米国は同様に我が道を歩み、国際的な軍備管理に多くのトラブルをもたらしている。
こうした中、影響力ある大国として中国は、共通の安全、平等な安全を追求し、人類運命共同体の方向へ発展するという基本理念を有している。特に軍備管理分野で、中国は積極的に参加して、国際的な軍備管理秩序ができるだけ安定した状態を回復するようにしている。徐氏によると、中国は軍備管理の問題で積極的でプラスのイメージを示すことは、世界の軍備管理にとって良い事であり、全ての国々を鼓舞することにもなる。
今後、科学技術の発展が加速するにつれて、新たな武器システムが大量に出現するかもしれず、これは世界各国の安全にも関わる。科学技術の発展と国防及び国家間の戦略との関係のバランスをいかに取るかは、軍備管理体制の働きにかかっている。「従って私は、この問題において中国は将来さらに重要な責任を負い、この方面で自らの貢献をすることになると考える」。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年7月14日