H2Aロケットは日本の宇宙能力発展の重要な道具となっている(資料写真) |
日本防衛省は9月30日、2021年度防衛予算の概算要求を公表した。日本は新型コロナウイルス感染症により経済が深刻に悪化しているが、防衛予算の要求額は9年続けて増加しており、前年同比3.3%増加の総額5兆4900億円にも達した。(文:郭一倫<空軍研究院所属>。解放軍報掲載)
防衛省は2018年12月に発表した新たな国防戦略で「領域横断作戦」の発展を打ち出し、宇宙・サイバー・電磁波領域における作戦能力が「領域横断作戦」を支える鍵であり、従来型作戦能力向上の新たな推進力になるとの見方を示した。新年度概算要求では「領域横断作戦」能力を中心とする関係経費が2兆7000億円と、概算要求総額の5割近くになっている。このうち宇宙・サイバー・電磁波領域の作戦能力に関わる経費は2809億円で、2020年度と比べ約346億円の増加、2018年度と比べ2倍以上の増加となった。
■関係機関を新設 組織体制拡充による牽引を強化
新年度概算要求では、日本は組織体制の拡充によって航空・宇宙・電磁波領域の作戦能力の強化を確保する計画だ。2020年5月に日本は宇宙作戦隊を新設して、宇宙作戦力の整備を本格的に開始した。宇宙作戦隊は20人で発足し、2023年には100人以上にまで拡大する。新年度において日本は宇宙作戦指揮統制部隊を新設し、同部隊及び宇宙作戦隊を隷下部隊に持つ宇宙作戦群も新編する。「領域横断作戦」能力強化の鍵は領域横断的な一元的指揮統制能力にあり、これは衛星等を利用した通信・誘導・測位等のシステムに大きく依存する。今回宇宙指揮統制部隊の新編を打ち出したのも、これに関わる難題の解決を加速することが目的だ。日本はまた、自衛隊の防衛装備の技術開発を一元的に管理する防衛装備庁に、宇宙作戦に関わるプロジェクトの推進を担当する「宇宙事業管理班(仮称)」も新設する計画だ。
■日米同盟の助けを借りて要員育成を加速
日本はまた、日米軍事同盟を頼りに、要員を選抜して米国での習得・訓練・交流・視察に派遣することで、関係領域の要員育成を強化する。新年度概算要求では、米国に要員を派遣して電子戦運用幕僚課程で電子戦の指揮統制能力を学んだり、米軍の実施する電子戦シンポジウムに参加するための経費を計上した。また、米空軍の実施する「Space100」等の課程や宇宙戦に関する多国間机上演習への参加に要員を派遣するための経費2億円も計上した。
概算要求では、陸海空自衛隊の統合電子戦演習の実施も初めて打ち出し、電子戦を背景に取り入れた英日海軍統合図上演習に参加する計画だ。
近年日本は防衛予算を増額し続けている。これはその防衛政策の変更を反映しているだけでなく、それ以上に「軍事的正常化」という野心の具体的現れである。とりわけ日本が「インド太平洋戦略」の推進に急ぐ米国の心理を利用して、「領域横断作戦」能力を強化し続け、「守」から「攻」へのモデル転換を一歩一歩実現していくことに、国際社会は強く警戒すべきだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年10月15日