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インスタントラーメンに春?「個食」が高級路線を牽引

丸わかり!中国キーワード

人民網日本語版 2020年10月16日10:34

インスタントラーメンが今、「国民食」の座に返り咲きつつある。膨大なシングル人口が「個食」の習慣を生み出し、革新的な商品が次々に登場し、ヘルシーさとおいしさを志向する高級インスタント食品が台頭しつつある。

「個食」がトレンドに

「中国統計年鑑2017年」のサンプル分析によると、中国のシングル人口はすでに2億4千万人に達し、総人口の15%を占めるようになった。シングル人口の飲食消費シーンをめぐって、食品・外食業にも一連の変化が起きている。「個食」の概念は今や「ニッチ市場」のレッテルから解き放たれ、外食業界の隅々にまで深く浸透した。

天猫(Tmall)が17年5月に発表したデータによると、1人分の食品の売り上げ増加率は200%を超えた。インスタント火鍋の購入者と従来型火鍋食材の購入者を比較してわかるのは、インスタントを注文した人は半分以上が未婚者だった一方で、従来型食材を注文した人は80%近くが既婚者だったことだ。年齢と職業をみると、インスタントは19-28歳の占める割合が従来型を大幅に上回った。19-28歳はシングルが最多を占める年齢層でもある。

シングル層が高級路線を牽引

「個食」の経済的特徴は明らかで、効率や頻度、品質、特別感、個性化のレベルが高いことが特徴だ。企業の側からみると、こうした消費に傾く消費者は、往々にして理想型の消費者であることが多い。インスタント食品の爆発的ヒットは、食事の効率を高めただけでなく、この消費層のニーズも満たした。たとえば自熱ミニ火鍋(発熱パックに水を注ぐだけで熱々の火鍋が食べられるインスタント火鍋)なら、便利さを提供したというだけでなく、一人でもおいしい火鍋を食べたいという「シングル族」の夢を叶えたことがより重要だ。火鍋は長らく特別感の強いメニューで、鍋料理を食べる機会をセッティングするのはなかなか大変で、多くの人は食べたいと思っても機会がなかった。しかもデリバリーの火鍋はシングルには量が多過ぎた。自熱ミニ火鍋は元々「個食」向けで、鍋物を食べるシーンに付き物の人付き合いというハードルもなく、消費者のこの商品に対する購入動機はその味そのものに集約される。

さらに言えば、自熱ミニ火鍋は火鍋を日常的な消費財に変えた。料理できる環境がなく、オンラインツーオフライン(O2O)サービスも届かないシーン、たとえば屋外でのピクニック、長距離電車での旅行などに、自熱ミニ火鍋は切り込んでいける。ミニ火鍋の他にも、高級インスタントラーメン、タニシ麺、インスタントご飯、酸辣粉(酸っぱ辛い極太春雨ヌードル)、豚の腸入り和え麺といったインスタントラーメンの新顔も、多くのシングル消費者の新たな選択肢になっており、グルメ系ブロガーの動画に度々登場し、食卓の新たなブームを引き起こしている。

データによると、今年1-9月には、中国国内の大手ECプラットフォームのインスタント食品の売上高は前年同期比68.68%増加した。このうちタニシ麺の割合が最も高く19.4%に達し、次は酸辣粉の12.12%だった。

ニーズが高度化 インスタント食品の栄養・健康志向を推進

生活水準が向上するにつれ、商品へのニーズも絶えず細分化している。インスタントラーメンといえども、消費者はより栄養価の高い商品を求めるようになり、栄養志向が今やインスタント市場の高度化を駆動する主な要因となっている。

インスタント食品の元祖「インスタントラーメン」は、一時はデリバリー市場の打撃を受けて深刻な危機に陥り、康師傅を代表とする伝統的インスタントラーメンは、5年間で売り上げが82億食減少した。

デリバリー慣れした若者層を奪い返すため、インスタント食品メーカーは高級インスタント食品への高度化が必要になり、康師傅、統一などのインスタントラーメンメーカーは相次いで高級路線の商品を打ち出した。塩分控えめ、環境への配慮、ヘルシーを合わせ技にした一連の商品が登場して、19年上半期の中国インスタントラーメン市場の売上高は前年同期比7.5%増加し、販売量も同1.4%増加した。世界ラーメン協会は、19年の中国インスタントラーメン販売量は400億食以上を維持すると予想する。このうち消費者の細分化と栄養ニーズの高まりがインスタント食品の高級化を推し進める。多くのスーパーの棚をみると、高級インスタントラーメンと低価格インスタントラーメンの割合は1対1で、市場を二分している。

ヘルシー志向、栄養志向という消費の新たなニーズに喚起されて、インスタント食品は次々に高級化路線を歩み始めた。麺ものの場合、高級志向のインスタントラーメンでも、入っている麺は変わり映えしないが、かやくや調味料は大きく変わっている。以前のように粉末調味料とわずかばかりのかやく野菜が入っているのとは異なり、真空パックの液体スープが入っているようになった。李子柒(リー・ズーチー)のタニシ麺の場合、麺のほかにも、調味料とかやくとして、スープベース、調味酢、ラー油、ピーナッツ、野菜、タケノコ、サクサク湯葉の7種類が入っている。パッケージには調理方法と調理時間が詳しく書かれ、誰が作っても本格的な味に仕上がるようになっている。

勁麺堂の牛肉刀削麺は、レトルトのスープを加熱し別にゆでた麺と合わせて食べる。1人分に「牛肉の塊が6-7個入っており、ダイレクトな満足感を味わえる。

「外でがんばって働いて、残業して家に帰っていつもインスタントラーメンを食べる。これが長く続くと確かに栄養が不足する」。このように話す福州出身の蒋さんは、高級インスタント食品の魅力に気がついてからというもの、自宅にストックを切らしたことはない。食事を作る時間がない時に食べるが、野菜も肉も入っていて、お腹いっぱいになり栄養も豊富だという。

価格も上昇 ブランド側は高級インスタント市場への展開を進める

高級路線をひた走るインスタント食品は、麺もスープも調味料も大いに高度化が進んだ。技術の向上が栄養も向上させ、それに見合う価格設定が必要になって、単価が20元(1元は約15.8円)を超える商品もたくさん登場した。

比較してわかることは、従来のインスタントラーメンは単価が1.5元から5元の間だが、高級化した新スタントラーメンはこれより大分値が張ることだ。蒋さんは、「1袋数元から20数元になって、初めはなんて高いんだ、外食の値段と変わらないと思った。その後、試しに何種類か食べてみて、このバージョンアップしたインスタントラーメンは確かにおいしいし、健康面でも品質面でも飛躍的に進化していることがわかった。定期的にいろいろ選んでストックしておこうと思う」と話した。価格は大分上昇したが、便利さと栄養バランスを両立した高級インスタントラーメンにはやはり人気がある。食品メーカーが発表したデータもこうした見方を裏付ける。インスタントラーメン大手の統一の年次報告によると、19年のインスタントラーメン業務の業績の伸びは、各ブランドの中でも中高級路線のシリーズが市場に評価され、売り上げが前年同期比で2けたの伸びを達成したことが主な要因だという。

また一方で、輸入ブランドとその他の高級インスタント食品も「レッドオーシャン」の競争に乗り出した。日清、農心、KOKAなどの輸入インスタントラーメンがスーパーの棚の一角を占めるようになり、価格は5元以上するものがほとんどだ。また自熱火鍋、ベジタリアンライス、インスタントタニシ麺など価格10-40元の国産インスタント食品もEC、スーパー、コンビニで存在感を放つようになった。

食品業界アナリストの朱丹蓬氏は、「過去数年間にインスタントラーメンの売り上げが減少したのは、産業サイドが消費サイドのコアニーズと訴求に対応できなかったことが原因だ。産業サイドが消費サイドの求めるイノベーションと高度化を進めれば、消費者の依存性と購入率も徐々に回復するだろう」との見方を示した。(編集KS)

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「人民網日本語版」2020年10月16日

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