天猫(Tmall)は20日に上海で、「(11月11日に行われる)年に一度のショッピングイベント『ダブル11』が10月21日にプレセールをスタートした」と発表した。2009年に第1回が行われてからこれまでで、今年は最も長いセール期間になる。25万のブランド、500万社を超えるオンラインとオフラインの業者がこぞって参加し、ポスト新型コロナウイルス感染症時代の大規模な世界的消費イベントを迎えた。ダブル11がついに始まった。今年はどんな新しい変化があるだろうか。
プレセールがさらに前倒しに 取り引き規模が記録更新
淘宝(タオバオ)傘下の天猫は20日、今年の天猫ダブル11がスタートすると宣言し、21日にプレセールを開始した。淘宝と天猫の蒋凡社長は、「今年のダブル11は特別だ。感染症後の最大のショッピングシーズンとして、国内需要の爆発的増加を極めて大々的に喚起するだろう。昨年と比較して、今年のダブル11はさらに3億人の消費者を呼び込み、合わせて8億人の消費者が参加することになる」と予測している。
今年のダブル11にみられる最大の変化は、買い物のタイミングが2回あることで、1回目は11月1-3日、11月11日が2回目になる。消費者にしてみれば、例年より買い物できる日が3日増えた上に、プレセールで予約した商品の残金を11月1日に払えば、例年より10日早く商品が手に入ることになる。
今年の天猫ダブル11の規模は過去最高を更新した。25万のブランド、500万社の業者が参加し、その中にはオフラインの業者200万社あまりも含まれる。セールの対象になる商品は1400万種類に達し、昨年の1.4倍だ。
ライブコマースが後押し プレセール初日に李佳■(王へんに奇)と薇▼(女へんに亜)のライブコマース予約金が157億円に
21日、天猫ダブル11のプレセールが始まって10分で、淘宝のライブコマースで行われた取引の金額はすでに昨年の1日分を上回り、4倍に増えた。特に化粧品では、ライブコマース開始から1時間で取引額が1億元(1元は約15.7円)を超えた商品が12種類あった。
今年のダブル11には、淘宝でライブコマースを行った2人のトップレベルパーソナリティの李佳■と薇▼に再び注目が集まった。データによると、21日未明2時頃、李佳■の視聴者は約1億6千万人に上り、薇▼の視聴者は約1億4千万人に上った。膨大な数の視聴者を抱え、二人のライブコマースの取引額は非常に大きなものになった。どちらも具体的な取引額を明らかにしていないが、データの分析によれば、支払われた予約金は合わせて10億元(約157億円)を超えたという。
別のEC大手の京東も負けておらず、21日にプレセールを開始した。京東は先に、「ダブル11の期間には、300人を超えるスターがライブコマースの放送室に入り、社長自ら行うライブコマースが500回以上あり、ブランド企業に最良の売り場を提供する」と発表した。
日本、韓国、タイ……国際ブランドが競って参入
現在のような世界中で感染症の厳しい状態が続く中、他国に先駆けて回復を果たした中国市場に世界中の注目が集まり、国際ブランドの中国市場参入への意欲がかつてない高まりをみせる。
今年、天猫国際(Tmallグローバル)には世界84ヶ国から輸入ブランド2万6千あまりが集結し、このうち2600あまりのブランドは今回がダブル11への初参加になり、中国の消費者に120万種類の新製品を提供する。
世界的な感染症の流行で海外旅行ができなくなったため、これまで中国の消費者が海外でよく買い物に行っていたドラッグストア、デパート、免税店がそろってダブル11に参戦した。日本最大の免税店チェーンのラオックス、タイの免税店キングパワー、日本のドラッグストアのマツモトキヨシ、オーストラリアの化粧品セレクトショップのメッカ、フィンランドのスーパーチェーンのケスコ、ドイツの大手スーパーのアルディとメトロ、アイルランドの小売グループのマスグレイヴなど100以上の売り場があり、オフラインで取り扱う商品2万種類を同時に販売する。
先週には日本最大の化粧品口コミサイトのアットコスメも参戦し、日本市場で今、最もトレンディな50種類の商品をひっさげて登場した。このほか、ダブル11期間には女性の間で今最も人気がある日本発化粧品ブランドの商品100種類を導入するという。
日本のフェイスマスク、韓国の美容器具、タイのラテックス枕、マレーシアの燕の巣といった人気の輸入商品のほか、今年のダブル11では、アイスランドのアンチエイジング美容液、デンマークの肝油サプリ、チリの赤ワイン、キューバの男性用フレグランス、ギリシャのヨーグルトマスク、ブルガリアのローズウォーターなど、知名度の低い国発の商品もますます豊富になった。
また天猫国際は今年のダブル11で、海外の農場、牧場、ワイン農場100ヶ所あまりからなるグローバル産業チェーンの商品を取り扱う。ウルグアイの牛乳1千トン、フランスのワイン260万本、ゴムの木約133ヘクタール、マレーシアの燕の巣2トン、ドバイのラクダミルク160万リットルが、「特別価格」で消費者に提供される。
対外貿易の工場30万ヶ所が初参入
今年のダブル11は、産業が対外貿易工場による国内販売への転換を促す大規模なトレーニングとみられていることが注目される。10月に始まった全商品を1元で販売する淘宝のキャンペーン「1元更香節」はダブル11期間もずっと続き、2千本の産業チェーン、30万ヶ所の対外貿易の工場、120万の業者が初めて天猫ダブル11に参入することになる。
3月までは、ペットの毛を取るローラーを主に生産する浙江省義烏市の義烏沢熙日用品有限公司は、感染症の影響で1千万件の注文がキャンセルになった。責任者の方昊さんは、国内販売へのモデル転換を進め、ダブル11の仲間に加わることを決意した。初めての参加だが、これまでの販売状況から十分な自信をもっているといい、「国内販売と対外貿易はリズムが異なるので、模索を続け、2回に分けて販売を行い柔軟に調整を行うようにする」と述べた。現在、同公司の工場はフル稼働しているという。また今年のダブル11では海外製品も供給の重点の1つだ。海外では感染症の複雑な情勢が続いており、天猫ダブル11は海外ブランドの主戦場にもなる。国内・海外の大手ブランドが「天猫進出」の動きを加速し、世界の数十のトップレベル贅沢品ブランドが今年初めてダブル11に参加する。
ECが激しい戦い 新製品の数量が多いほど競争力も向上
新たな売り上げのピークを作り出そうとするなら、古い製品ばかりではうまくいかない。ECの商品バージョンアップのペースはますます速くなり、多くのプラットフォームはユーザーのニーズを反映したサプライチェーンにおける生産をとっくに打ち出している。このような着実で正確な手法は、新製品が大好きな消費層を拡大するとともに、「ヒットを打ちたい」多くの新ブランド・新製品により高い要求をつきつけることになった、
たとえば炭酸飲料の場合、昨年のダブル11で糖質ゼロ・脂肪分ゼロ・カロリーゼロが売りの元気森林ソーダは売り上げランキング2位だったが、今年の6月18日の「6・18」ショッピングイベントでは最大手コカ・コーラを抜いてトップに立った。今年10月の「第一財経」の「金看板ランキング」のデータ調査によれば、元気森林は炭酸飲料の頂点に立った。過去5年間はずっとコカ・コーラが首位をキープしていたという。
中国の消費者はライフスタイルが変化するペースがどんどん速くなり、高品質化、多様化、個性化の方向へとますます発展し、ますます多くの細分化されたニーズが掘り起こされるようになった。新しい消費ニーズが、多くの特色ある新興商品を急速に拡大発展させると同時に、足踏みして前に進めない者を容赦なく淘汰する。
ユーザーの心が「変化」 勢いあるZ世代が発言権をもつ
現在、ユーザーの製品やブランドに対するロイヤリティー、注目度、影響力はますます低下している。95後(1995年から1999年生まれ)や00後(2000年代生まれ)の若者は主体的に新商品を検索し、新商品の情報をチェックし、特に楽しくて面白く価値の高いコンテンツに注目し、自分も情報を発信して誰かと共有したいと考え、消費に関して非常にはっきりと主張する。
こうした若いZ世代は消費の30%近くのシェアを占め、その消費の増加率は400%を超え、市場全体の増加率のほぼ2倍にあたる。ビッグデータプラットフォームの阿里●●(●は女へんに馬)が最近発表した「ダブル11投資の手引き」によれば、Z世代の消費の占める割合が年々拡大し、力強く増加する勢いを保っているという。
現在、淘宝系列のプラットフォームにはZ世代のユーザーが2億人近くおり、その65%が「消費は人間関係と密接な関係がある」と考え、半数以上が「お金を使うのは自分を喜ばせるため」と考えるという。この「自分を喜ばせる」はZ世代の顕著な特徴だ。Z世代は社会のメインストリームに急速に融合しており、国内消費市場の主要層の1つになった。この世代は消費市場で半分以上の発言権を握り、SNSでは最も活発なパワーをみせる。
人気商品の誕生は決して偶然の出来事ではない。新商品を消費するというトレンドがユーザーたちに新しいものを追い求めさせる根本的な原因だ。ブランド側としては、ECプラットフォームのデータを利用して、消費者をふるいにかけ、こちらの期待に合致する消費者を正確に探り当てることが重要になる。(人民網日本語版論説員)
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「人民網日本語版」2020年10月23日