実際には、大量の世論調査の結果が明らかにしているように、米国の大多数の人々は目下の人種をめぐる状況に不満を抱いている。しかし政治的な決定においては、人種による不公平の問題に関する多くの改革措置は、常に政治的に中途で挫折させられてきた。フロイドさんの事件が発生した後に打ち出された警察の法執行の改革法案は、いまだに米国議会で可決されていない。現在の米国政治はさらに分裂状態に陥っており、このために人種をめぐるトラウマを修復し、人種的正義を回復するために実質的な措置を打ち出すのがより困難になっている。一部の政治屋はさらに公然と極右思想を奉じ、アイデンティティ政治と言葉遊びに打ち興じ、「白人至上主義」をあおっている。新型コロナウイルス感染症が発生して以来、米国のアジア系の人々が遭遇する差別と不公平が急速に拡大しており、これは一方では長期的に存在してきたアジア系の人々に対する差別と偏見を露呈させたものであり、また一方では政治屋が盛んに売り込む排外主義の悪しき手本とも密接な関係があると言える。以前、米国のある外交官は国際的な場で米国のレイシズムの危機を認めたという理由だけで、ポンペイオ氏を始めとする右翼政治屋たちから包囲攻撃された。こうした現象は、政治的プリズムが目下、一部の米国人の人種問題に対する視線をゆがませていることを物語るものにほかならない。
現職のバイデン大統領は就任当日直ちに、米国には、「400年前から続いてきた人種間の平等を求める叫びが、私たちを突き動かしている」と述べるとともに、人種の平等の増進を任期内の4大優先項目の1つにするとした。こうした遠大な抱負と壮大な意気込みを前に、人々は既視感を感じずにいられない。12年前、初のアフリカ系大統領となったオバマ氏がホワイトハウス入りし、米国社会は今と同じような「チェンジ」への期待を抱いた。しかし、その後の歴史がすでに十分に明らかにしているように、人種間の矛盾を真に緩和しようと思えば、米国に必要なものは意気軒昂な政治的スピーチにはとどまらない。今や、米国の人種問題はますます深刻さを増しており、すでに国際社会が最も注目する人権問題の1つになっている。国際連合人権委員会(UNCHR)が今年、米国の「国別人権報告書」を審議した際には、110数ヶ国から米国の人権問題へ批判の声が上がった。このますます深刻化するこの人種問題という「疫病」に直面して、米国がもしも引き続き実質的な行動を取ることが困難であるなら、米国が自身に付した人権神話は、おそらくより荒唐無稽なでたらめになるだけだろう。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年5月6日