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デジタルマーケティングの要素を強化し第4回輸入博に臨むジェトロ

人民網日本語版 2021年11月03日16:25

まもなく開幕を迎える第4回中国国際輸入博覧会(以下、輸入博)の準備が現在、上海市で着々と進められている。今年も11月5日から10日にかけて同市の国家エキシビションセンター(上海)で開催される。人民網では、輸入博博覧局WEBに登録されている日本企業300社以上のうち、128社の出展を取りまとめている日本貿易振興機構(JETRO)上海事務所の高山博副所長に、今年の日本企業の出展状況から、今年も引き続きオンライン・オフラインでの開催となる輸入博への取り組みについて取材した。人民網が伝えた。

昨年に続き約6割の日本企業が連続出展

ジェトロが取りまとめる第4回出展企業128社のうち、食品・農産品分野は89社・団体、医療機器・医薬保健分野は39社・団体となっており、連続出展している企業の数は約6割という。ジェトロによると、中国では専門見本市が数多く行われているが、なかでも輸入博は政策的に最も重要な見本市で、多くの人が注目していることもあり、出展企業は輸入博を重要なマーケティング及びブランディングの場と位置付け、複数回連続出展していると分析している。

食品・農産品エリアのジャパン・パビリオン(写真提供・日本貿易振興機構上海事務所)。

3分野のジャパン・パビリオンと常設展示場でメイド・イン・ジャパンをPR

ジェトロでは、今年も「医療機器・医療保健」と「食品・農産品」、「消費品」の3つの分野にジャパン・パビリオンを設置して日本企業による中国市場における販路開拓を支援している。また昨年と大きく異なるのが、輸入博に関連して、輸入博展示商品の常設展示場「虹橋品匯日本館」を新設した点だ。中国商務部と上海市政府による「中国国際輸入博覧会6+365常設展示」の政策を受け、上海虹橋品匯に面積1000平方メートルに達するジェトロの輸入博出展商品の常設展を設けて、500ブランド2000点以上の輸入博での展示商品のPRを行うという。これにより、中国各地のバイヤーが輸入博に入場したり、日本に直接赴かなくても、年間を通じて、この「虹橋品匯日本館」で優れた日本の商品を体験し、購入・商談することができる。ジェトロではこうした「日本商品基地」となる拠点を今後は海南省のほか、四川省成都市や重慶市といった中国西部エリアにも拡大していく構想だという。

「虹橋品匯日本館」が新設された上海虹橋品匯の外観(写真提供・日本貿易振興機構上海事務所)。

「虹橋品匯日本館」(写真提供・日本貿易振興機構上海事務所)。

オンラインマッチングの効率向上を目指した工夫

ジェトロが初めてオンラインマッチングを実施することになった昨年の第3回輸入博においては、事前予約システムとオンラインマッチングのための特設スペースを設けるなどして臨んだ。不慣れな部分もあったということだが、それでもオンラインマッチングによる成約金額は全体の1~2割程度とまずまずの結果をあげることができたとしている。

今年は昨年の反省点を踏まえ、来場者の手間を減らすため、各出展企業ブース内にタブレットPCを設置し、来場者が日本にいる企業と常時オンラインで商談することを可能にするとともに、微信(WeChat)IDのQRコードを公開し、来場者がWeChatを通じて各出展企業の責任者や担当者と常時オンライン商談できる仕組みも導入して臨む。

越境ECビジネスのサポートを図る「JAPAN MALL事業」

また、これまでの出展と比べ、デジタルマーケティングの要素を強化しているジェトロでは、越境ECビジネスのサポートを図る「JAPAN MALL事業」を中核事業の1つに位置づけ、今年の輸入博においても食品・農産品分野と消費品分野において、それぞれ越境ECと連動した形の展示方式で商品展示を行う。具体的には展示商品の横にQRコード付きの販促POPを設置し、商品を試飲・試食・体験して気に入った場合、そのQRコードをスキャンすればその場で越境ECのページから商品を購入することができるという仕組みだ。これはジェトロにとっても新しい試みなのだという。

中日貿易にとっても重要な役割担う輸入博

農林水産省の統計によると、第1回輸入博が開催された2018年以降、日本の農林水産品・食品の対中輸出額は増加傾向にあり、2020年は2018年比122.4%増の1638億円。そして2021年は1月から8月までで、すでに1425億円と、年間では2020年の1638億円を大幅に超える見込みとなっている。そのためジェトロは、輸入博は中日貿易促進という面においても重要な役割を担っていると分析している。

また輸入博において全カテゴリーの日本商品(食品や酒・飲料、化粧品、生活用品・キッチン、衛生用品など)の販売促進をサポートしているジェトロは、それら出展企業における共通点として、新型コロナの影響で国内消費と海外輸出が落ち込む中で、新型コロナからの回復が早かった中国市場に活路を見出しているという点を挙げている。

新型コロナは中小企業を含む日本企業の売上・収益にも大きな影響を与えている。一方で、ジェトロが海外ビジネスに関心が高い日本企業に対し実施した「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」によると、調査に回答した企業のうち、輸出拡大を図ると回答した企業は76.7%と高い水準だった。今後輸出の拡大を図る企業がターゲットとする国・地域をみた場合も、中国が最多で56.7%を占めた。さらに、海外との往来が制限される中で、特に中小企業において、海外輸出におけるEC活用ニーズが高まっている。海外向けのEC利用企業の販売先としても中国(47.6%)がトップとなっており、中国への輸出における越境ECの活用ニーズは高い。そのため、今後の中国市場の販路開拓・拡大を考える上で、越境ECは欠かすことができない重要なツールと考えるジェトロでは、日本商品の中国越境EC販売を強力に推進する「JAPAN MALL事業」を推進している。

中国における輸入商品の最大の見本市である輸入博は、政府関係者やバイヤー数も圧倒的に多く、これまでの出展でも多くの成約があった。ジェトロとしても、日本企業の商品をPRする場として最も効果的な見本市として期待を寄せている。第4回輸入博の開幕まであと数日。リアルな体験を促進させることを目指した新設の「虹橋品匯日本館」や、越境ECビジネスを重視したジャパン・パビリオンの展示に対する期待も高まるばかりだ(文・玄番登史江)。

「人民網日本語版」2021年11月3日

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