福島第1原発事故起源の放射性物質セシウム137が北極海で検出されたことについて、中国外交部(外務省)の汪文斌報道官は11日の定例記者会見で、「今回の件で、日本の福島原発汚染水の処分が決して日本だけの問題ではなく、全世界の海洋生態環境及び人々の健康に関わることが改めて示された。日本はステークホルダー及び関係する国際機関と十分に協議して合意に至る前に、原発汚染水の海洋放出を勝手に始めるべきではない」と述べた。
【記者】共同通信の報道によると、筑波大学の研究者はこのほど、2011年の福島原発事故で海洋に流出した放射性物質セシウム137が米西海岸に到達後、一部が北上し、太平洋最北部のベーリング海を経由して、約7~8年後に日本の東北沿岸に戻ったとの研究成果を発表した。福島原発事故のセシウム137は北極海でも検出されたという。これについて中国としてコメントは。
【汪報道官】日本の専門家による最新の研究成果は、日本の福島原発事故によって生じた放射性物質が、すでに北太平洋全域にまで拡散し、北極海にさえ影響を及ぼしていることを物語っている。以前にも、国際的に権威ある研究報告で、福島県沿岸には世界で最も強い海流があり、福島原発汚染水を海洋に放出した場合、その放射性物質が数年後に世界中の海域にまで広がるという予測が示されていた。今回の件で、日本の福島原発汚染水の処分が決して日本だけの問題ではなく、全世界の海洋生態環境及び人々の健康に関わることが改めて示された。
中国の王毅国務委員兼外交部長(外相)は先日の第2回「海洋協力・ガバナンスフォーラム」開幕式でのスピーチで、原発汚染水の放出など海洋環境を破壊する行為を法律に厳格にのっとって扱い、青い地球がいつまでも澄み渡り、青い海と空を将来の世代に残せるようにする必要性を指摘した。我々は日本に対して、周辺諸国と国際社会の懸念に真剣に耳を傾け、海洋環境と人類の健康に責任を負う姿勢に基づき、原発汚染水の海洋放出という間違った決定を撤回するよう促す。ステークホルダー及び関係する国際機関と十分に協議して合意に至る前に、日本は原発汚染水の海洋放出を勝手に始めるべきではない。(編集NA)
「人民網日本語版」2021年11月12日