11月30日、北京で開催された『日本青書(2021)』記者発表会ならびに日本情勢シンポジウム(撮影・張麗娅)
中華日本学会と中国社会科学院日本研究所は11月30日、社会科学文献出版社と共同で『日本青書:日本研究報告(2021)』(以下、青書)を北京で発表した。
青書は2020年の新型コロナウイルスのパンデミック下における日本国内外の情勢を振り返り、分析を行い、「2020年、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、日本の政治、経済、社会及び外交に全面的かつ強い衝撃を与えた」と指摘し、パンデミックの下での中日関係、中日の民間交流や経済・貿易などの詳しい説明に紙幅を割いた。
中華日本学会と中国社会科学院日本研究所が社会科学文献出版社と共同で発表した『日本青書:日本研究報告(2021)』(撮影・張麗娅)
青書は「パンデミックの発生、米国の対外政策の変化及び中米関係の緊張などが、中日関係全体に重要な影響を及ぼした。2020年、中日間には助け合い、共に困難を克服する心温まるエピソードが生まれた時期もあったが、日本側がパンデミックの問題を政治化し、東中国海情勢を激化させるなど中日関係発展の大局を損なう危険な状況も生じた。中日の民間交流はパンデミックによる打撃を受けて明らかに妨げられた一方で、新たな動きもいくつかみられた。オンラインで展開するクラウド対話やクラウド展示、クラウドPRが中日民間交流の新たな形となり、公衆衛生や医療・健康、ワクチン開発など医療・健康分野への注目が明らかに高まった。経済・貿易分野では、パンデミック下の封鎖と隔離が中日両国の産業チェーンとサプライチェーンに影響を与えたが、日本の対中貿易は強靭性を示し、年間でプラス成長を実現した」と指摘。
「パンデミックの持続及びそれによる経済的打撃を前に、中日は力を合わせて常態的な地域感染防止・抑制メカニズムの構築を推進し、観光・医療・健康など民生分野で両国協力の強化を先導し、アジア太平洋地域の経済統合プロセスを後押しし、貿易と投資の円滑化水準を高めることで、地域経済の回復及び経済・社会の持続可能な発展を促進する必要がある」とした。
記者発表会に参加した中華日本学会の高洪会長(右)、中国社会科学院日本研究所の楊伯江所長(左)(撮影・張麗娅)
来年は中日国交正常化50年にあたる。「次の50年にどう向かうか」も注目されるテーマだ。中華日本学会の高洪会長(全国政協委員)は、「両国関係は現在もなお潜在的なリスクをいくつか抱えている。中国の領土主権及び内政に関わる問題を、日本政府は慎重に扱う必要がある。中日双方が一致協力して、両国関係の安定的な発展を確保することが最も重要だ」と指摘した。
青書の編集主幹を務めた中国社会科学院日本研究所の楊伯江所長は、「中日双方はこの得難い機会を契機に、2つの『点』を確認するべきだ。その1つは、50年前の中日共同声明という『原点』だ。中日関係は国交正常化によってそれまでの100年間から軌道を変えたが故に、友好協力へと向かうことになった。このうち、台湾地区問題などいくつかの問題は中日国交正常化の政治的な基礎であり、この原点を忘れてはならない。もう1つは『起点』だ。グローバル化時代の中日関係、100年間なかった情勢変動が進む新時代の中日関係と、1972年の中日関係とでは、外部環境において大きな変化が生じているため、50年後にあたる今日は新たな歴史的起点でもある。我々は中日関係を拡充し、新たな協力空間を開拓する必要がある」とした。(編集NA)
「人民網日本語版」2021年12月1日