米国メディアは先日、新型コロナウイルスのパンデミックによって、すでに20万人以上の米国の子供達が父母や主要養育者を失い、「コロナ孤児」になったと報じた。これらの孤児は薬物乱用、中途退学、貧困などの問題に直面している。だが米国メディアは、最も支援を必要とするこの弱者層を米国政府は「喫緊の課題と見ていない」と指摘する。この事実によって、いつも人権を口実に他国を批判する米国が、自国民の人権の尊重と保障においては「債務」が増え続けていることが改めて明らかになった。(人民日報「鐘声」国際論評)
膨大な人数の「コロナ孤児」は、パンデミックの試練に米国政府が「落第」した結果だ。すでに米国では新型コロナウイルスによる死者が100万人に迫り、多くの家族が引き裂かれている。統計によると、米国では18歳以下の孤児の12人に1人が「コロナ孤児」だ。米国メディアの調査によると、ニューヨーク市では200人に1人の子供が「コロナ孤児」だ。しかし、こうした痛ましい数字を前にしてもなお、米国政府は連邦裁判所判事と「マスク着用令」で揉めており、新たな防疫措置も議会の党派紛争のために予算計上を阻まれている。
「コロナ孤児」の悲惨な境遇は、弱者層の基本的人権を軽視する米国政府の姿勢を反映している。関連報道によると、医療従事者の親を新型コロナとの闘いで亡くして、世話をしてくれる大人がいなくなった子供達や、シングルマザーの母を病気で亡くして、ストリートチルドレン化を余儀なくされた子供達がおり、米国政府がこれらの問題に対する救済策をとらないことに批判が広がっている。ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の社会疫学者レイチェル・キッドマン氏によると、今世紀最大規模の孤児問題を前にして、米連邦政府は動きが鈍く、孤児達が生きていくために必要な資金も提供していないし、養育の手配も整えていない。
「コロナ孤児」に見られる顕著な人種間格差は、米国社会に存在するシステミック・レイシズムの問題を浮き彫りにした。米国の学者の研究によると、エスニック・マイノリティは米国の総人口では39%を占めるが、「コロナ孤児」では65%を占める。平均すると、白人の子供の753人に1人が「コロナ孤児」であるのに対して、ヒスパニックの子供では412人に1人、アフリカ系の子供では310人に1人、先住民の子供では168人に1人が「コロナ孤児」だ。ブルッキングス研究所シニアフェローのラショーン・レイ氏は、システミック・レイシズムは米国では過去のものではなく、今も社会に蔓延し、日常生活の各方面に浸透していると指摘する。
国民の苦しみを直視し、弱者層に特別な配慮をすることは、政府の責任の表れである。しかし、米国で「コロナ孤児」が広く世論の注目を集める中、米国政府は自国民が関心を寄せる問題を解決するための救済措置を講じないばかりか、いわゆる国別人権報告書を再び発表して、自国のみを除外した世界198の国と地域の人権状況についてみだりに問題を指摘している。独紙ユンゲ・ヴェルトは、米国は他国の人権状況を判断する報告書を毎年発表しているが、自国の人権状況は悪化し続けており、「二重の道徳基準が報告書全体を貫いている」と指摘する。
政府に対する自国民の不満をそらそうと、人権を政治的に利用し、ダブルスタンダードを採用しても、米国における人権状況が日増しに悪化しているという現実を覆い隠すことはできない。「コロナ孤児」現象は、米国政府の日毎に増加する「人権上の債務」の縮図に過ぎない。今日の世界において、まだ米国を「人権の灯台」、模倣すべき手本と見なしている者がいるだろうか。(編集NA)
「人民網日本語版」2022年5月5日