国連総会は20日、「ヘイトスピーチと闘う国際デー」に関する非公式ハイレベル会合を開催した。中国の張軍国連大使は会合で、ヘイトスピーチに関して3つの懸念を表明した。中国新聞社が伝えた。
張大使は「中国はヘイトスピーチとの闘いにおける国連の努力を高く評価し、『ヘイトスピーチに関する国連戦略・行動計画』の実行のさらなる推進を支持する」と表明。ヘイトスピーチについて、(1)スティグマタイゼーション(汚名を着せる)的言論が新型コロナウイルスとの闘いの足枷となっている(2)レイシズム的言論がヘイトクライムを増やしている(3)ヘイトスピーチの招く「イスラモフォビア」(イスラム嫌悪)が激化している――との3つの懸念を挙げた。
張大使は「新型コロナウイルスのパンデミックが発生して以来、さまざまな形のスティグマタイゼーション的言論や事実でない偽情報が、新たな『情報パンデミック』を引き起こし、新型コロナとの闘いにおける国際的な団結と協力を深刻に妨害し、破壊してきた。現在、アフリカ系の人々への差別、アジア系の人々への憎悪といった過激な思想傾向がはびこり、レイシズムに基づく襲撃事件が頻繁に発生し、人々は心を痛めている。イスラム教徒に対する憎悪は、すでに『感染症のレベル』にまで高まっている。西側の特定のメディアでは、暴力事件の加害者がイスラム教徒の場合、事件に対する報道は非イスラム教徒が加害者だった場合の8倍近くに上り、報道の長さも2倍以上あり、イスラム教徒に対する人々の憎悪と偏見を深める結果となっている」と指摘。
「ヘイトスピーチに対処し、これを根絶するために、各国は相互尊重を堅持し、対等な対話を行う必要がある。特定の国は教訓を汲み取り、真剣に反省し、傲慢と偏見を捨て、他国の懸念をしっかりと尊重すべきであり、言論の自由の名の下にヘイトスピーチを黙認し、偽情報を広めることがあってはならない。開放と包摂を堅持し、異なる文明間の交流と相互参考を強化し、民心の通じ合いを促進し、溝や誤解を解消し、ヘイトクライムの温床を取り除く必要がある。各国は、ヘイトスピーチの根絶における教育の基本的役割を重視し、若い世代の異文化に対する理解と尊重を培い、人々の情報識別・批判能力を高める必要がある。政治指導者と報道メディアは、なおさらに特別な責任を担い、ヘイトスピーチの発生と拡散を阻止し、包摂的な平和の文化を発揚する必要がある」とした。
2019年6月、グテーレス国連事務総長が「ヘイトスピーチに関する国連戦略・行動計画」の始動を宣言。2021年7月に第75回国連総会で6月18日を「ヘイトスピーチと闘う国際デー」と定める決議が採択された。今年の6月18日は最初の「ヘイトスピーチと闘う国際デー」となった。(編集NA)
「人民網日本語版」2022年6月21日