日本の企業は長年にわたって、就業規則によって従業員の副業を禁じてきた。しかし、最近は、一部の企業の間で「副業解禁」の動きが広まっている。
夢を追いかける従業員を応援する日本の企業
東京のソフトウェア開発会社・サイボウズは、早くから従業員の副業を認めている企業の一つで、従業員約500人の30%が副業を抱えている。副業している従業員は、日中は情報技術の仕事に携わり、余暇の時間には編集や楽器演奏、講師などの仕事をしている。秋山耀平さん(26)は同社の市場部門で働いており、複数の外国語が話せるため、自分が外国語を学んだ経験をネット上でシェアし、注目を集めている。中には、クリック数が1億回以上のコンテンツもあり、関連の書籍も出版している。
秋山さんは、「いろんな夢にチャレンジしている人に、会社は寛容な態度を示し、従業員が夢を追いかけることを尊重してくれている。そのような企業文化であるため、僕も本職と趣味を両立することができ、負担に感じることも全くない」と話す。
従業員の副業を認めているほか、サイボウズは、他の企業で働いている人が副業として同社で働くことも認めている。取材中、会議室で、ある他の地域に住んでいる従業員がビデオ通話を通してグループ会議に参加している様子を見ることができた。その従業員は副業として同社で働いているという。同社の責任者は取材に対して、「副業制度を採用することで、内部のイノベーションが刺激され、活気が増している。また、有能な人材の流出を最大限阻止することができ、企業の安定した経営基礎を築くことができる」と話した。
サイボウズの広報責任者である大川将司さんによると、2005年の同社の離職率は28%と、一年の間に従業員4人に1人が辞めていたのに対して、現在の離職率は約4%にまで下がったという。
「二つの人生」 昼間は「サラリーマン」夜は「経営者」
東京の銀座にある寿司屋の店長は、日中はスーツを着たサラリーマンで、夜になると調理衣に着替えて寿司を握っている。
岡田壮右さん(42)は、東京のある電子部品企業の従業員で、夕方6時に退社すると、帰宅するのでも、他のサラリーマンのように同僚と飲みに行くのでもなく、銀座にある会社からそう遠くない場所にある寿司屋に行き、スーツから調理衣に着替え、客を迎える。岡田さんの店は、それほど大きくないものの、毎日多くの客でいっぱいになる。