米国との経済貿易摩擦がエスカレートし、米側から最大限の圧力を受ける中、中国は「自らの事を達成する」ことについて高度の共通認識を形成しつつある。その重要な1つが科学技術の自立を実現し、イノベーション主導型発展の道を歩むことだ。(文:白天亮・本紙論説員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
イノベーションを強調するのは、イノベーションが興れば国家が興り、イノベーションが強まれば国家が強まり、イノベーションが長く続けば国家の強勢が持続するという道理は不変だからだ。歴史を見ると、過去数百年間に世界経済の中心は何度かシフトしたが、その背景にある重要な力はイノベーションだった。科学技術イノベーションを実現した国は発展の原動力に満ち溢れ、発展の優位性と経済競争力を得た国は現代化のうねりを興した。経済大国は例外なしにイノベーション大国だ。現代世界を見ると、21世紀に入ってから新たな科学技術革命と産業変革が起き、世界の主要国は我先にと科学技術イノベーションのブレイクスルーを探り、未来の発展の機先を制そうとしている。激しい競争の中で、イノベーションを実現した者だけが前進し、強くなり、勝利する。
今日の中国は製造業など伝統分野で弱点分野の補強を加速するだけでなく、人工知能(AI)など先端分野で徐々に優位性を築いている。新興産業で先進国と対等に競争するだけでなく、最先端科学技術の前人未踏の分野にもあらかじめ布陣を敷いている。現在中国にはまだ技術上のウィークポイントが少なからず存在するものの、全体的、長期的に見ると、中国はすでに時間と空間において比較的整ったイノベーション・マトリクスを形成している。世界の新たな技術産業変革は質の高い発展へと向かう中国経済の新段階と互いに合流し、中国のイノベーション実現にも得難いチャンスをもたらしている。中国は産業部門が揃っており、200品目以上の主要工業製品で生産高世界一位だ。イノベーション創造は中国で急速に根を張ることができる。中国は海のような市場を持つ世界最大の人口大国であり、消費力が力強く、価値ある創造力の発揮に肥沃な大地を提供している。様々なイノベーション要素が刺激し合い、各分野の専門性が助け合い、中国の新たな優位性を形成している。中国にはキー分野での独自開発の条件と能力がある。外部のいわれなき封鎖、不当な圧迫は、独自開発への中国の決意をより揺るぎないものにするだけだ。
中国の独自開発は、扉を閉ざして秘技を鍛えるなどというものではない。中国の指導者は、独自開発がオープンな環境下でのイノベーションであり、扉を閉ざして行うことは決してできず、各国の力を借りる必要があることを早くから明言している。産業と技術のグローバルな協力は、すでに不可逆の潮流となっている。新しいタイプの先端的で影響力が大きく、関連分野の広範な技術であるほど、「互いに融合し切り離せない」形態を取るのであり、全ての部分を単独で担うことのできる企業や国は少ない。中国は自己封鎖が独自開発の大敵であることを熟知しており、グローバルな視野でイノベーションを計画・推進し、国際科学技術イノベーション協力を包括的に強化している。真のイノベーションの成果は特定の科学技術権力者に属したことはなく、人類共通の財産だ。中国の独自開発の追求もそうだ。「2億人を救った」抗マラリア薬アーテミシニンも、近く産業化される5G技術も新たな業態と生活に無限の可能性をもたらすものであり、全てのイノベーションは最終的に国際科学技術界と共に人類の進歩を後押しし、より素晴らしい明日をもたらす。
独自開発の中で開放を拡大し、様々なものを受け入れ、オープンなイノベーションの中で自らを高め、科学技術の自立を実現する。中国には苦難を切り抜けて、技術と産業の主導権を掌握し、イノベーション主導型の質の高い発展の道を安定してしっかりと歩む自信がある。(編集NA)
「人民網日本語版」2019年5月27日