契約精神を欠くと他国を非難し、契約の尊重を他国に要求する。これは米側の一貫したやり方だ。昨年米国は、世界貿易機関(WTO)のルールを遵守していないと中国を非難する報告を複数公表したうえ、これを中国に対する一方的な貿易措置実施の理由とした。先月には「米中間には事実上すでに合意があったが、中国側が破壊した」とも主張した。だが、事実は事実だ。前者に関しては、中国側は昨年6月に発表した「中国と世界貿易機関」白書で、中国がWTO加盟時の約束をしっかりと履行したことを反論の余地のない事実によって厳正に告げた。後者に関しては、中国側は先日発表した「中米経済貿易協議に関する中国側の立場」白書で、中米経済貿易協議の数回経験した波瀾が、いずれも米国が共通認識に背き、前言を翻し、誠実さと信用を重んじなかったためだという真相を全面的に系統立てて明らかにした。(人民日報「鐘声」国際論評)
WTOのルールは各国の共通認識を踏まえて形成された契約であり、各国いずれもが自覚的に規定に基づき行動するべきだ。だが米側はWTOルールよりも国内法を上に置き、一方的に各国との貿易紛争を仕掛け、多角的貿易体制を思うがままに踏みにじっている。WTO加盟国であるのに米側はWTOの上級委員会と紛争解決制度が米国を拘束することを「認めない」と公に表明し、WTOを脱退すると脅しをかけてすらいる。このような露骨な脅しの、どこに契約精神が少しでもあるのか?
米国が国際法と国際ルールの最大の破壊者であることは事実が物語っている。190カ国余りが調印した気候変動対策に関するパリ協定から米国は離脱した。国連安保理の認めたイラン核合意から米国は離脱した。国連教育科学文化機関(ユネスコ)、国連人権理事会などの国際組織からも米国は脱退した。国際ルールや国際機関を「都合が良ければ用い、都合が悪ければ捨てる」という米側の本性を、国際社会はとっくに見抜いている。
ルール意識と契約精神は市場経済の礎であり、現代国際秩序の重要な支えでもある。ルールを遵守し、契約を誠実に守ることで、個人、集団、国家は広範な協力を形成できる。これは文明社会の主要な特徴だ。勝手気ままに契約を破棄し、国際ルールを手玉に取ることで、米側は自らの信用を失い、世界の秩序を破壊している。「中国側との経済貿易協議でこのように前言を翻す米国が、同じく交渉中の他の貿易相手国の信用を得ることは不可能だ」との認識で国際世論は一致している。
「前言を翻し、契約を守らない米側の決定を見ると『そのような友人がいれば、誰が敵を必要とするだろうか?』と思わざるを得ない」。1年前、EUのトゥスク大統領は国際社会における米側の破壊行為を前に、こう嘆いた。誰であれ、どの国であれ、契約精神を失えば遅かれ早かれ孤立の苦しみを味わうことになる。(編集NA)
「人民網日本語版」2019年6月10日