【国際観察】WHOに対する非難は「重大な過失」を隠蔽するためのすり替え

人民網日本語版 2020年05月02日16:49

米国のトランプ大統領は先月、世界保健機関(WHO)への資金拠出停止を表明した。トランプ大統領が言うところの理由は、WHOは「中国寄り」であり、しかも新型コロナウイルス予防・抑制を「台無し」にしたというものだった。数週間前、トランプ大統領はWHOを何度も痛烈に批判し、米国政府の過失をWHOのせいにしようとした。 人民網が伝えた。

WHOにとって最大の資金拠出国の1つである米国の資金拠出停止は、WHOの世界における感染予防・抑制と感染対策調整に大きな打撃を与えることになる。多くの人が、米国が新型コロナウイルスのパンデミックに際して取った行動はまったく道理に合っていないと考えている。明らかに、トランプ政権はその感染予防・抑制面における重大なミスを覆い隠すことを目的として、一か八かの勝負に出ている。

WHOは1月30日、新型コロナウイルス感染症が国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態であることを宣言し、さらに3月11日には新型コロナウイルス感染症が「パンデミック」に当たることを正式に宣言した。

実は、トランプ大統領もかつてはWHOの措置を称賛していた。2月25日、トランプ大統領はツイッターで、「米国では新型コロナウイルスはかなりコントロールできており、各方面や関係国とも連絡を取っている。米疾病予防管理センター(CDC)とWHOは非常に努力しており、非常に賢明だ。自分の目には、株式市場も好調に推移し始めていると映っている」と述べていた。

それなのに、なぜトランプ政権のWHOに対する態度は明らかに大きく変わったのだろうか?

その理由は、米国の感染情勢が深刻化したことにある。対応が不十分だったため、トランプ政権は厳しい批判にさらされた。トランプ政権は事の是非をうやむやにし、責任を逃れ、注意をそらそうとし始めた。わずか3ヶ月間で、米国の新型コロナウイルス感染者は累計100万人を超え、死者数は米軍のベトナム戦争中の戦死者数を上回った。米国政府は極めて大きなプレッシャーに直面し、過失を全て他国のせいにせざるを得なくなった。

WHOは世界の公衆衛生の守護者であり、その願いは全ての人に可能な限り最高の健康基準を享受してもらうことだ。WHOは健康に関わる重大な事業面においても指導的役割を発揮し、協力メカニズムを確立し、健康状况のモニタリングと健康状況の評価を行っている。WHOは世界の感染予防・抑制において重要な役割を果たしており、WHOを妨げるいかなる行為も現在の厳しい情勢をさらにひどい状況にしてしまうだろう。

米国の現在の情勢は非常に懸念すべきものだが、トランプ政権のすることなすことが悪夢のような状況を招いており、その結果これほど多くの死者を出してしまった。米紙「ボストン・グローブ」の編集委員会は3月末、厳しい文面の評論を発表し、米国の感染症危機は「指導力の極めて大きな失敗」によるものだとし、トランプ政権のだらだらとした対応によって情勢がさらに深刻化していると指摘。「言い換えれば、大統領の手は鮮血にまみれている」と記した。

上記のようなさまざまな国外メディアの言い方は非常に耳の痛いものだが、問題の核心に迫っている。いかなる粉飾も事実と真相を覆い隠すことはできず、どのようにWHOを非難したとしても、米国が保健当局と情報機関が数ヶ月にわたって再三行ってきた警告を無視し、新型コロナウイルスの米国における脅威を弱く見せようとしてきたという事実を変えることはできない。2月、トランプ大統領は公の場で、「感染者数は数日以内に減少してゼロに近づき、感染症の危機も奇跡のように消えてなくなるだろう」という主張を続けていた。しかし、奇跡は起こらず、米国の新型コロナウイルス感染者数はかえって急増した。

全ての人が米国の感染状況の好転を望んでいる。しかし、WHOに対し攻撃の火ぶたを切り、資金拠出を停止したことは、問題の実質を覆い隠すすり替え的なやり方だ。(編集AK)

「人民網日本語版」2020年5月2日

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