「責任転嫁」で人命を救えるか?

人民網日本語版 2020年05月03日16:32

新型コロナウイルスによる肺炎の感染流行が猛威を振るい、世界中の人命に関わる事態となっている現在、ポンペオ国務長官をはじめとする米国の一部の政治家たちはFOXニュースなどの右翼メディアと共に、自己の救命・治療能力不足の責任から逃れるため、「責任転嫁」というゲームをし始めている。そして「武漢ウイルス研究所から人工的に合成されたウイルスが流出した」や「中国は新型コロナウイルスの感染状況を隠蔽した」、「世界保健機関(WHO)が時機を逸しさせた」といったデマを次々と報じている。メディアによると、最近、米国の共和党内部ではその選挙戦の方針として、新型コロナウイルスに感染状況をめぐる問題に関しては、一様に中国に責任転嫁することで統一するよう明確に要求しており、彼らの綿密に計画した選挙戦術となっている。この政治的操作は彼らの醜悪な意図を人々に明らかにしたと言える。(人民日報「鐘声」国際論評)

新型コロナウイルスの発生源がどこなのかという問題は、厳然たる科学的な問題であり、科学者による厳密で専門的なウイルストレーサビリティが必要となる。スペイン風邪は米国から感染が広まったが、医学専門家たちが努力を重ねたにもかかわらず、百年以上たった今でも最初の感染患者「0号患者」を確定できていない。米国の政治家や右翼メディアの人々は、何を根拠に言いがかりをつけているのだろうか?事実、いわゆる「合成ウイルス流出説」が唱え始められると、直ちに米国の医学専門家を含む全世界の科学界が反発している。医学誌「ランセット」や「ネイチャー・メディシン」など権威ある学術誌も新型コロナウイルスは自然界から発生したと強調している。さらには現時点で人々の治療を行わずに、ウイルスの発生源にこだわることは一種の「謀殺」と変わらないとまで言い切る医学専門家もいるほどだ。過去から現在に至るまで、大きな災害や災難に際し、「政治的資本」を手に入れることのみに拘泥した人々は、最終的に歴史において恥辱という汚名が与えられている。

陰謀が最も恐れるのが、公明正大な光だ。米国の独立ニュース調査サイト「Grayzone」の専門誌は、保守派の記者が米国政府とどのように「二人羽織り」を演じているかを暴き出しているほか、捏造と陰謀論の伝播の全過程について詳細まで明らかにしている。米コロンビア大学の微生物学と免疫学の専門家であるビンセント・ラカニエロ氏は、今回の新型コロナウイルス感染状況を口実に中国を中傷する説について、「ウイルスは人工的に作られたものだろう」や「実験室から流失したものだろう」といった説はいずれも「政治的な働きかけ」によるデマであり、科学的根拠は全くないと指摘している。また、カナダのマニトバ大学のウイルス学者であるジェイソン・キンドラチャック氏は、「フォーブス」誌のウェブサイトに、これは科学的根拠の裏付けがない論点であり、反駁に値せずと指摘している。

一難去ってまた一難という言葉の通り、米国の一部の政治家たちの「責任転嫁」の技量は取り返しのつかないレベルにまで達しており、中国に責任転嫁するだけでは飽き足らず、WHOにまで責任転嫁を行おうとしている。彼らは自分たちの感染状況に対する「災難に対応するような」やり方に対して反省することなく、むしろ自国の感染拡大の責任は「中国とWHOが注意喚起を遅延させたこと」にあるとしているのだ。ある有識者は、中国は常に情報公開の透明性を維持し、1月3日にWHOと米国の関連疾病予防機関に報告を行ったほか、WHOもまたすぐさま全世界にこの情報を発表しており、どこに「遅延」が存在するのかと指摘している。中国の北京市と上海市、広州市で最初の感染患者が報告されたのは1月20日で、米国で最初の感染患者が報告されたのは1月21日と、その時間差はわずか1日差ながら、その感染予防・抑制の結果は天と地ほどの差が出ている。先日、世界の1000団体以上の医学協会や慈善団体、医薬会社、専門家、学者などが連名で米ホワイトハウスに対し、書簡を送り、その中でWHOと中国政府は常に緊密なコミュニケーションを維持し、真っ先に国際社会に公衆衛生データを報告することを確保していたと指摘した。また中国は、新型コロナウイルスの遺伝子配列を真っ先にシェアし、ワクチン開発を加速させるための基礎条件を提供した。医学誌「ランセット」の編集長であるリチャード・ホートン氏は、緊急事態を宣言しても活動しないのは、加盟国の責任であり、中国の過ちではなく、世界は中国の警告と防疫の努力に感謝すべきだとしている。

米国は現在、パンデミックにおいて最も感染状況が深刻な地域となっており、政府の対応における様々なミスが社会各界全体に不満を生じさせている。米国の一部の政治家は責任から逃れるため、他国の人が見ても分かるような目くらましをすることで、国内においては事実を無視して功労を並べ立て、国外に向けては、出まかせともいえるデマを唱えている。メディアに暴露された共和党の立候補者に配布された新型コロナウイルス感染状況をめぐる中国への攻撃に関する指導覚書は実に57ページにも及び、その核心となる目的は「責任転嫁」だった。

現在、全世界に蔓延している新型コロナウイルスは新しいタイプのウイルスであり、ワクチンの研究開発に成功するまで、全人類はその生命を奪い、健康に危害を及ぼすウイルスの危機から完全に抜け出すのに、まだしばらく待たなければならず、そのことに対して全世界の科学者たちは皆憂いを抱いている。災難を目の前にし、その危機を迎えた重要なこの時期、互いに見守り合い、共に手を携えて難関を乗り越え、団結して協力してこそ、この挑戦に立ち向かうことができるのだ。シンガポール紙「ザ・ストレーツ・タイムズ」のウェブサイトは、「米国の指導者が行っている『非難ゲーム』はたださらに多くの人々の命を危険にさらすだけだ。(中略)米国とその盟友にとっては、命を救うことに重点を置いて、中国と協力して有効なワクチンを見つけ出すことの方が、よほど役に立つ」としている。

米大統領・リンカーンの名言に、「すべての人を少しの間騙すことはできる。一部の人をずっと騙すこともできる。しかし、すべての人をずっと騙すことはできない」という言葉がある。米国の一部の政治家たちは、世の中を欺くことができると思い込んでいるのだろうか?中国は国を挙げて新型コロナウイルスの感染予防・抑制を進め、前例のない「都市封鎖」を行うことで、感染拡大を阻止し、代価をいとわぬ救命治療で診療方法を探し求め、経験を積んできた。この中国の努力と貢献は尊重されるべきだ。これは誰の目にも明らかな事実であり、決して一部の人々による政治的操作で変えられるようなものではない。米コロンビア大学のジェフリー・サックス教授は、「米国は他国に学ばなければならない。全世界が協力し、最善の方法を共有することは、この危機から安全に抜け出るための最大の希望だからだ」としている。

深刻な災害や災難を目の前にして、憎しみを選択し、批判し、攻撃することは、自らの困難を克服するために何の役にも立たないだけでなく、世界に影を落とすことになるだろう。実際、米国では感染死亡者の数が増え続けており、これは「責任転嫁」だけして、実際の行動をしていないために生じた悪い結果と言わざるを得ない。人々の生命を無視し、人間性を失って自分で自分の首を絞めるような行いをしているが、そうした「責任転嫁」をいくら一生懸命演じて見せたところで、ただ自らを欺き人を欺く茶番劇でしかないということを米国の一部の政治家たちにアドバイスしたい。そして今一番必要なことは、こうした「責任転嫁」のパフォーマンスを減らし、少しでも多くの感染予防・抑制の行動を起こすことだ。無駄な騒ぎを減らし、少しでも多くの人道的な責任を果たすことだ。そして悪辣な唆しを減らし、少しでも多くの過ちを認める態度を見せることだ。そうしてこそ、人々の生命を救うことができ、悲劇を終わらせることができるだろう。(編集TG)

「人民網日本語版」2020年5月3日

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