英国南西部にあるコーンウォールで行われていたG7サミットは13日、3日間の日程を終えて閉幕した。国際社会は本来G7に新型コロナウイルスのパンデミック、気候変動、経済回復などへの対応でしかるべき責任を担うことを期待していたが、その後発表された首脳宣言は議題の深刻な偏りをはっきりと示すものだった。会場の外では、G7がワクチン分配や気候変動対策などで「空疎な約束」をしたことに多くの人々が抗議した。多くの海外メディアは、こうした世界的に喫緊の課題においてサミットは「必要な水準に達しなかった」との認識を示した。国際的な政界の要人や機関の一部も、G7の約束は遅かったうえに到底不十分だと指摘した。(文:趙国軍<上海社会科学院国際問題研究所>。解放軍報掲載)
G7は首脳宣言で、来年末までに世界に10億回分の新型コロナウイルスワクチンを提供すると約束したが、現在の世界的規模の深刻なワクチン不足に対して、これでは焼け石に水に過ぎない。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、現在新型コロナウイルスの感染は世界のワクチン分配よりも速く拡大しているとして、「人々は来年ではなく、今ワクチンを必要としている」と述べた。
気候変動対策における約束も同様だ。G7は2050年までに温室効果ガスの「ゼロ排出」を実現すると約束した。だが先進国は前回の約束もまだ完全には果たしていない。2009年の第15回気候変動枠組条約締約国会議(COP15)で先進国は、発展途上国の気候変動対策を支援するため、2020年までに少なくとも年間1000億ドルを提供すると約束した。だが10数年後の現在、実際に発展途上国に提供された資金は1000億ドルには程遠い。6月13日、国連のグテーレス事務総長はG7を始めとする先進国にこの約束の履行を改めて促し、この約束が各国間の相互信頼の確立、パリ協定の定めた気候行動目標の達成にとって極めて重要であることを強調した。
こうした状況は、G7サミットがすでに時代後れの「政治ショー」になっており、先進国が余りにも多くの「空手形」を出していることを物語っている。
サミットが「政治ショー」になったのは、G7にとって決して「知らず知らずのうちに犯した間違い」ではなく、一部の国々がワクチン分配や気候変動対策など真に重視すべき問題よりも、地政学的議題を優先させたためだ。
サミットが「政治ショー」になったことは、加盟国に各々利己的な打算があり、G7内に埋めがたい溝があることも露呈した。米国政府は、西側先進国が「民主的価値観」を基礎に再び「団結」する必要性を再三強調したが、サミットの状況を見ると、トランプ政権期に深刻に分断された大西洋両岸の関係を完全に修復しようとするのは、いささか一方的な願望だと言えるだろう。
英国としては、「ブレグジット」後、サミットの機会を利用して「グローバルな英国」構想を示したい考えがあった。だが、スコットランドや北アイルランドなど国内問題が絶えない中で「グローバルな英国」の「影響力」を語るのは空論に近い。
EUの出席各国も振り回されることを望んでいない。ドイツ政府はサミット前に発表した声明で、新型コロナ対策、さらに将来のパンデミックへの備えが、サミットの重点的議題であるべきだと指摘した。フランスのマクロン大統領はサミット後、G7は中国と敵対する「クラブ」ではなく、西側諸国はグローバルな問題で中国と協力すべきだと表明した。
G7は価値観において彼らが団結し、世界をリードすべきだとしきりに言うが、国際関係の扱いにおける自らの価値観に深刻な問題が生じていることを、彼らは知らない。新型コロナのパンデミックを前に、国際社会は団結して対処することを早急に要しているが、G7サミットは依然として世界を分断させる価値観を頑なに堅持した。時代後れの価値観は、必然の結果として時代によって捨て去られることになるだろう。(編集NA)
「人民網日本語版」2021年6月16日