中国社会科学院日本研究所の楊伯江所長はこのほど、国際問題シンポジウム「第12回縦論天下」に出席した際、「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の正式発効と国交正常化50周年を迎えることに伴い、中日関係は健全で安定した発展の重要な機会を得ることになる。しかし日本の戦略的主体意識の高まり、大国間ゲームへの積極的な参加により、中日関係は複雑で厳しいものとなり、『妨害の長期化、動揺の常態化』という局面に置かれることになり、慎重な対応を要する」との見方を示した。新華網が伝えた。
楊所長は2022年の中日関係の展望について、次のように分析している。
今年1月1日にRCEPが発効した。そして、9月29日には中日国交正常化50周年を迎える。多国間および地域の観点から、中日関係の健全かつ安定的な発展の推進が重要な契機を迎えていることは確かだ。しかし同時に戦略・安全保障分野で、中日関係はそれ以上に障害や試練に直面しており、複雑で厳しいとさえ言える状況にある。
第1に、日本の戦略的主体意識が高まり、地政学的思考が復活し、軍事的要素が国家戦略目標達成に向けたアプローチの選択肢として顕在化してきた。日本は大国間の戦略ゲームに積極的に加わり、様々な二国間・多国間安全保障協力を強化している。これは明らかに中国を牽制する意味合いがあり、台湾海峡問題への関心と介入も強めている。日本の戦略的主体性の高まりは、各方面に複雑な影響をもたらすが、現在および中期的には、日米関係への試練よりも中日関係への打撃の方が大きいことは間違いない。
第2に、日本の国内政治的要因だ。日本の国内政治はかねてから中日関係に直接的影響を及ぼしてきた。日本は今年7月に参議院選挙を控えており、現在から7月末まで再び「政治シーズン」に入るため、今後半年間、中日関係において特に慎重な対応を要する。
先日発効したRCEPを日本の国会が滞りなく承認したのは、日本の今後の発展にとって非常に重要であるからだ。RCEPは日本のGDPを2.7%押し上げ、57万の直接雇用を創出することが期待される。より重要な意義は、日本が将来の発展の前途をアジア、東アジア、そして中国とも結びつけたことにある。 この観点から、日本の基本的方向性の一つは、中国と米国の双方を頼ることであり、明確にどちらかを選んで戦略面における自らの進退を絶つことではない。
中日関係は「妨害の長期化、動揺の常態化」、「協力と共存が併存し、協力が競争を含む」局面に置かれることになる。中国は意識面から政策面、戦略面から戦術面まで、この「ニューノーマル」に適応していく必要がある。(編集NA)
「人民網日本語版」2022年1月13日