自然保護区 (2)
2、デン金絲猴(クロキンシコウ)
中国の雲南省と西蔵(チベット)自治区の交わる地区、高い雪山が連なる森林に、珍しい霊長類が暮らしている。中国特有の滇金絲猴だ。
人間によくにた顔に、真っ赤な唇を持つこのサルは、世界で最も美しい動物の一つと呼ばれる。デン金絲猴は世界最大のサルでもあり、体重は30キロに達する。その生態や行動は極めて特殊で、氷河近くの高山森林で1年中生活している。冬でも寒さや食料不足といった悪い自然環境を逃れるために低海抜の地域に下りることはなく、農作物を荒らすことがない。霊長類の中でも最も興味深い種類の一つだ。
研究価値
動物の分類上、デン金絲猴は霊長目サル科金絲猴属にあたる。同属は現生の霊長類で最も注目を集めている種類だ。系統発展上、旧大陸猿とサルの間の特殊な分類にあたる。金絲猴の研究は人類の進化を理解する上で特に重要な意義を持つため、高い学術研究の価値を持つ。
金絲猴属の4種類(川金絲猴、黔金絲猴、デン金絲猴、ベトナム金絲猴)はいずれも世界の絶滅の危機に瀕した動物のレッドリストに登録されている。そのうちデン金絲猴、黔金絲猴、ベトナム金絲猴は世界で最も危機に瀕している霊長類25種類の一つだ。この4種類のうち、ベトナム金絲猴がベトナム北部にのみ分布するのを除き、他の3種類はいずれも中国大陸部特有の種類だ。このため、これらの種類は中国の「国宝」と見なされている。
「人民網日本語版」2013年9月