大安全保障観でアジア・パラドックスを解消
「1本の箸では物を食べるのは難しく、2本の箸を一緒に使って初めて食べ物を挟むことができる。一掴みの箸を束ねれば容易には折れなくなる」。李克強総理は第8回東アジアサミットでこのような比喩を用いた。李総理は防災、災害救援、サイバーセキュリティ、国際犯罪の取締り、合同法執行など非伝統的安全保障分野での中国とASEANの協力の深化について多くの提案をし、域内諸国共通の心の声を反映して、前向きな共鳴を得た。(文:王義◆(◆は木へんに危)・チャハル学会シニアフェロー、中国人民大学教授。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
これだけでなく、朴槿恵大統領が訪中した際も、中韓両国は同様の協力構想を打ち出した。韓国は米国の同盟国で、ASEANの一部の国も米国の同盟国だ。中国とこうした国々との安全保障協力、さらには軍事協力は以前なら想像できなかったことだ。
様々な兆候が示すように、東アジア運命共同体を構築しようにも、安全保障共同体の支えなしには堅固なものにならない。東アジア地域は「安全保障は米国頼み、経済は中国頼み」というアジア・パラドックス(朴大統領の言葉)を打破しなければならない。
ソ連崩壊後、中国は上海協力機構の創設を促し、相互信頼、互恵、対等、協力という新安全保障観を積極的に提唱し、共通の安全保障、協調的安全保障、総合安全保障を提唱してきた。これは冷戦時代の古い安全保障観と比べ、大きな歴史的進歩だ。現在、国際安全保障問題には次のような新たな変化が見られる。
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