中レベルの高度成長段階に入った中国経済 (2)
(2)マクロ調整をめぐる政策的ルールに関して、「合理的な範囲」という命題をうち出した。マクロ調整では経済運営を合理的な範囲に収める必要があり、経済成長率や雇用水準などが「下限」を割り込んではならず、物価上昇率などが「上限」を越えてはならず、安定的な成長、構造調整、改革の促進を統一的に計画する必要があるということだ。これによりマクロ調整がいつ手を出すか、どのように手を出すかという問題への答が出たことになる。
(3)マクロ調整のギアチェンジをどうするかについて、「中レベルの高度成長」という命題をうち出した。現在の中国経済はすでに中レベルの高度成長段階に入っており、マクロ調整では経済の持続的で健全な発展を保証する必要があるということだ。
これによりマクロ調整がどれくらいの力で手を出すかという問題に答えたことになり、中レベルの高度成長を維持し、経済成長率の大幅な低下を防ぐ必要があることがわかる。
▽「経済は中レベルの高度成長段階に突入」の意味は?
経済成長の適切な範囲とは、一定の期間に、社会の物質的パワー、資金的パワー、人的パワー、すなわち総合的な国力が支えることのできる潜在的な経済成長の範囲を指す。
現在、国の内側と外側に出現した新たな経済環境を背景として、中国経済は成長ペースが低下するギアチェン時期にさしかかっている。経済成長ペースの低下には習慣性があり、このため、経済成長はこれまでのようなたびたび上限を越える状態から下限を割り込まないようにする状態へと転換し、下限を把握することがマクロ調整における大きな問題となった。それでは現在とこれから5年ほどの間に、経済成長の適切な範囲を一体どれくらいと考えればいいのだろうか。実際の国情を出発点とし、共通認識を形成しやすくし、マクロ調整の実践における把握を容易にするため、今年の「政府活動報告」における経済成長率の目標値と物価上昇率の目標値を参考にするのが一つの選択肢になる。今年の経済成長率の目標値は7.5%で、これを適切な範囲における下限とすることができる。過去の事実から見ると、今年第2四半期(4-6月)の国内総生産(GDP)増加率は7.5%に低下しており、さらに低下する危険があり、マクロ調整では経済を「やや活性化する」一連の政策が採られ、底がしっかりと補強された。適切な範囲の上限は物価上昇率から把握することができ、経済成長率からも把握することができ、この2つは密接な関連がある。過去30数年間のデータで計算すると、消費者物価指数(CPI)の上昇率が3%であればGDP成長率は8.93%となる。3.5%であれば9.13%、4%であれば9.32%になる。こうした過去のデータを参考にすると、今年の「政府活動報告」ではCPI目標値は3.5%となっており、GDP成長率はおおよそ9%ということになる。よって、GDP成長率9%が適切な範囲の上限ということになる。