世界中で中国製人工呼吸器の奪い合い 主な問題点は?

人民網日本語版 2020年04月14日13:52

「1月28日から現在に至るまで、うちの工場の製造ラインは基本的に全部フル稼働で、ここ2日間は特に忙しい。海外での新型コロナウイルスによる感染拡大が速すぎて、今の工場は週7日勤務で休みがなく、朝9時から夜11時まで働いている。4月末まで生産計画を立てているが、毎日海外からの電話注文が何件もかかってくる」。北京怡和嘉業医療科技股フン有限公司(フンはにんべんに分)の許堅最高マーケティング責任者(CMO)はこのように述べた。「科技日報」が伝えた。

新型肺炎が世界で急速に拡大するのにともない、海外では人工呼吸器のニーズが急増している。特に侵襲的人工呼吸器のニーズが増加し、中国は今や重要な人工呼吸器輸出国になった。工業・情報化部(省)がまとめたデータによると、中国は3月19-30日に緊急的に海外に侵襲的人工呼吸器1700台あまりを提供した。

国家薬品監督管理局によると、中国の医療機器分類リストでは、リスクの程度に応じて人工呼吸器を第3類医療機械管理と第2類医療機械管理の2つのタイプに分けている。第3類の人工呼吸器は一般的に患者の生命を維持するために用いられ、主に集中治療室(ICU)と呼吸器科の病棟で使用される。第2類の人工呼吸器は生命の維持に用いられるものではなく、非侵襲的人工呼吸器が中心で、呼吸器科の病棟でも家庭でも使用される。

「呼吸困難は新型肺炎に感染した患者によくみられる症状の1つで、人工呼吸器で補助したり呼吸の機能を代替したりして、患者の血液中の酸素の濃度が保たれ、呼吸器系と重要臓器が不全に陥ることを回避する」。天津市泰達病院重症医学科の王一旻行政副科長(天津武漢支援医療チームのメンバー)はこのように述べた上で、「感染状況がある一定のレベルにまで達すると、重症患者の救命率は人工呼吸器の数によって決まってくる」との見方を示した。

3月31日現在、中国で販売を許可された人工呼吸器は126機種あり、このうち第3類が95機種、第2類が31機種だ。市場関係者の話では、「侵襲的人工呼吸器市場は輸入ブランドが中心で、国産品はスタートが遅かったが、ここ数年は猛烈な勢いで発展しており、発展途上国の市場でシェアの30%から40%を占めるようになった。非侵襲的人工呼吸器市場を侵襲的人工呼吸器市場と比較すると、生産の技術・要求が相対的に低いため、国産ブランドが海外ブランドとほぼ拮抗し、今や中国国内市場で40%を占める(家庭用を含む)」という。

江蘇魚躍医療設備股フン有限公司の袁振副社長は、「今は原材料の供給に制約があるため、生産量は実際の生産能力の3分の1しかない。当社の人工呼吸器は感染症の期間中に欧州30数ヶ国で販売された」と話した。

袁氏は続けて、「人工呼吸器のコア部品にはターボファン、センサー、チップなどがある。こうしたコア部品は主に欧米からのもので、中国国内に製造するメーカーはあるが、ファンの騒音と回転数、センサーの精度と感度はどれも海外製品にかなわない。たとえばターボファンには高速回転と応答速度の速さが求められ、これらが備わっていなければ患者の呼吸数に素速く対応して圧力を調整することはできない。調整ができないと患者は有効な治療を受けられない」と述べた。

しかし世界で感染症が爆発的に拡大し、人工呼吸器の部品サプライヤーも世界の巨大なニーズに直面する。川上のサプライヤーの生産能力、供給チェーン、生産周期のいずれも挑戦を受けている。

南京市の人工呼吸器を生産する医療機器メーカーの関係責任者は、「当社は代わりの原材料を試しに使ってみることも考えたが、人工呼吸器は長期的な使用に対する信頼性と安全性の要求が厳しく、源であるサプライヤーからの原材料供給問題を解決してはじめて、品質を保障し数量を確保しながら生産能力を向上させることができる」と話した。

輸入コア部品が国産品で代替できるようになれば、現在のような生産量が制限された状況が回避できるのだろうか。

前出の許氏は、「独自化と輸入依存の道があり、われわれの業界内に限らず、あらゆる製品がこの問題に直面する。グローバル化にはグローバル化のメリットがあり、それは分業協力で、それぞれに長所がある。欧州は部品の精密なコントロールに優れ、中国は押出成形、プラスチック、一般的な電子分野の能力が高い。平時であればグローバル化分業は非常に高効率なものになる。しかし感染症がどこかの国の工場に影響して正常に稼働できなくなると、グローバル化はそのために制約を受けることになる。独自化すればこうした状況を回避できる。供給チェーンの管理をみると、国産化と現地化がトレンドだが、全てを現地化しなければならないのかという問題がある。このほかの多くのプロセスにも解決しなければならない問題がある」と分析した。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年4月14日

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